最近読んだ本の中でもかなり面白かった「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」
お笑いコンビオードリーの若林正恭さんが書いたキューバ旅行記です。
5日間のキューバ旅行記がコミカルに、繊細に綴られていて、今年読んだ本の中でもダントツ琴線に触れた1冊でした。
ただの旅行記かと思えば、旅を通じて自分の人生を振り返ったり、旅の途中で幼い頃抱いていた気持ちを思い返したりする場面が多く…旅行記を読んでいるのに、なんだか彼の人生の大切な記憶に入り込んだ感覚に陥りました。
やっぱり芸人さんは言葉のチョイスや表現が斬新で、読み手を自分の世界に取り込むのが上手いなと思いました。
そしてかなり意外だったのが、若林さんは幼いころから新自由主義社会、競争社会への疑問を持っていたという点。
だからか、社会主義国家のキューバで何かを掴みたい!という若林さんの切実な思いが強烈に伝わってきました。
テレビやCMにバンバン出ている人でも、そういう反成果主義的な考えの人がいるんだなーっという新鮮感。
やっぱり人は職や外見で判断しちゃダメですね。
この本を読んで「ああ、私もこういう気持ちになれるから旅が好きなんだ」と気づく部分が多かったので、本の中で印象深かった言葉と一緒に思ったことをつらつら書いてみたいと思います。
価値観から脱出できるから
5日間、この国の価値観からぼくを引き離してくれ。同調圧力と自意識過剰が及ばない所までぼくを連れ去ってくれ。
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬より
私は海外旅行が大好きなんですが、いつも衝動的に飛び立つことが多いです。
そのタイミングは「あーーこの日本の空気から逃げたい!!!」ってなったとき。
元々日本で良しとされている行動ができないタイプなので、同調圧力とか全体主義的な考えを強制されると蕁麻疹が出ます(本当です)
だからといって「完全に我が道を貫く!」ということも出来ないタイプなので、周りの空気でだんだん委縮していって…ある日突然それが爆発します(笑)
旅って日頃心に積もり積もったモヤモヤを、一度綺麗にリセットしてくれると思うんです。
頑なになった固定観念を少し緩めて、客観的に物事を判断できる力を取り戻すような感覚。
違う国の文化に触れることで「高学歴・勝ち組・負け組・大企業・ルックスの良さ」といった日本基準の定規がどうでもよくなったり…。
だから若林さんの「この国(日本)の価値観から引き離してくれ」という言葉も、かなり共感できて、旅行の度に思っちゃうことなんですよね。
振る舞いを意識しなくてもいいから
ぼくは今から5日間だけ、灰色の街と無関係になる。すれ違う人は誰もぼくのことを知らないし、失笑もしない。
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬より
誰も自分を知らない土地に行く。
これほど開放的な気分になれることはないと思います。
私はいつも旅行するとき、なるべく現地の人だけが行くような場所に行きます。
完全アウェイ状態になると「誰も私に振る舞いや価値観を押し付けてこない!」「ありのままの振る舞いができる!」といった気持ちになれます。
日本にいてると、「日本人だからこう振る舞うべきだ」とか「これくらいの年齢の女性はこうあるべき」とかいろいろ制約が多すぎて息苦しくなることも…。
私のような非バトル系人間は旅先で小さな殻を破り、「自分はこういう人間だ!」という自信感を取り戻す機会を定期的に設けることが必要なのかもしれません。
キューバ旅行記を読んでいると、数年前友人に連れて行ってもらったマレーシアの料理店の完全アウェイ感(私以外全員インド人だった)を思い出しました。
ああいう時に、完全なる自由を感じるんですよね。「わあ、だれも私のことを知らない!」「自由だ!」って。
私のように、買い物とかレジャーが目的ではなくて、単に海外のアウェイ感が好きで旅するっていう人、結構多いんじゃないかな~と思います。
特に目的もなくフラッと旅する私に、友人は「いつも何しに行ってるの?」って聞いてくるんですが、今まで私にもよくわかりませんでした。
かっこよく言うと「海の向こうから何かが私を引っ張ってる」という感じ(笑)
今回「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んで、「そうそう!こういう気持ちわかる!」と自分の旅好きの理由にも気づけた気がします。
キューバに興味がない方でも、旅好きな方なら絶対共感できる部分があると思います。サラッと読める旅行記なので是非読んでみてくださいね。おすすめです!
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