Koguma

自由に生きたい韓国マニアのゆったり生活

家父長制との闘争を綴った韓国エッセイ『私は自分のパイを求めるだけで人類を救いに来たんじゃない』を読んでみた。

 

どうも、そみ(@somi_koguma) です。

 

今回は今年読んだ韓国エッセイの中でも、かなり印象深かった1冊『私は自分のパイを求めるだけ 人類を求めてきたわけじゃなくて』自分の役割を取り戻したい女性のための野望エッセイ』を紹介したいと思います。

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私は自分のパイを求めるだけで人類を救いに来たんじゃない

 

この本は、家父長制が色濃く残る社会で、どうやったら女性が抑圧から解放され、キャリアや夢を追求できるのかについて書かれたエッセイ。

著者が実際に男性社会で経験してきた出来事をベースに、家父長制への闘争が細かく綴られています。

ここまでリアルな現場レポートって、今までなかったんじゃないかなと思います。

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性差別の厳しい現状と、女性が知っておかなければいけない心構え、進むべき方向性を知ることができ、昨今のフェミニズムムーブメントに欠かせない1冊だという印象を受けました。

 

著者キム・ジナさんと、Woolf Social club

 

著者キム・ジナさんは、フリーランスのコピーライター兼Woolf Social Clubという女性のためのコミュニティーカフェを運営していらっしゃる方です。

元々、大きな広告会社で優秀なコピーライターとして活躍なさっていたのですが、フェミニストに目覚めてからはフリーランスへと転換。

広告会社という競争&男性中心コミュティーに長く身を置いていたこともあり、誰よりも不条理な現状をたくさん見てこられた方なんだろうなと、エッセイを読み進める中でヒシヒシと伝わってきました。

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そんなキム・ジナさんが運営しているカフェ、Woolf Social Clubは女性達が気軽に交流できるコミュニティースペースとして開かれており、男性中心のコミュニティでは堂々と話せないことを思いっきり話せる場になっているんだとか。

特に人脈を広げたり、新しいプロジェクトを計画したりする機会の少ないフリーランスの女性にむけて、定期的に交流イベントを開催しているそうです。

なんて素敵なこと。

エッセイの中でも、このスペースを作った信念や役割についてたくさん触れられていて、彼女が人生をかけて経験し、考えたことの集大成がこの空間なんだろうなと思いました。

www.instagram.com

私も近いうちに行くつもりなので、またレポートご期待ください!笑
 

【追記:2019年12月に行ってきました!】 

 

 

ザッと大まかな紹介をしたところで、ここからはエッセイの中で印象深かった言葉と、そこから感じたことを少し書いていこうかと。 

 

家父長制から離脱した女性は脅威の対象になる

 

맘껏 소비되던 2,30대 여자가 40대가 되면 갑자기 시야에서 사라진다. 직장은 물론 광고에서도 드라마에서도 찾아보기 힘들다. 아내나 엄마 같은 가부장제 입맛에 맞는 역할을 제외하고는 다뤄지지 않는다.

引用 p18 『나는 내 파이를 구할 뿐 인류를 구하러 온 게 아니라고 』

(以下私が意訳したものです)

    ”思いっきり消費されてきた2,30代女性が40代になれば、いきなり視野から消える。職場はもちろんのこと、広告でもドラマでも探すのが難しくなる。妻や母といった家父長制に合った役割を除いて、取り上げられることはない。”

 

韓国エッセイ『女二人で暮らしています』から学ぶ、結婚でも一人暮らしでもないカスタマイズ式の暮らし方。という記事にも書いた話なんですが、日本とか韓国って40代に突入した女性(特に未婚女性)を空気のように扱う傾向があって、それに関しては中学生の時、親戚のおばさんの口から出た「あの人はお局さんだから、ひがんでるのよ」というワードに「なんじゃそりゃ。嫌な言葉。」と思ったのが初めだったんですよね。

今でも売れ残りとか賞味期限とか、女性を物扱いする発言を聞くと、めちゃくちゃ気分が悪くなるし、そもそもそのお局さんの性格が歪んでしまったのも、結婚できないのはダメっていう世間の風当たりが原因なんじゃないの、って思っちゃいます。

女性が極度に”結婚できないこと”を恐れるのも、”モテを追求する”のも、女性同士が勝ち組、負け組と格付けし合っているのも、全て男性のコントロール下にあるっていうことに多くの人が気づいて欲しいなと。

 

女の敵は女とか言っている人は、まずその構造を一番面白がっている奴は誰かって考えて欲しいです。

 

女性は本当に弱くて優しい存在なのか

여자라고 더 착하거나 도덕적인 존재일까? 아니다. 혹시 그렇게 느껴진다면 그건 여성이 사회적, 육체적 약자로서 권력에 더 잘 순응했기 때문이다. 

引用 p33-34 『나는 내 파이를 구할 뿐 인류를 구하러 온 게 아니라고 』

 (以下私が意訳したものです) 

    ”女性だからといってもっと良い子、道徳的な存在だろうか。いや、違う。もしそう感じるのならそれは女性が社会的、身体的に弱者として権力にうまく順応したからだ。”

これも日本のアニメとか漫画とかCMとか見ていると「その表現やめて」って思ってしまうものが多くて。

メディアや教育で植えつけられた女性像に、洗脳されている人がたくさんいるなーと日々感じます。(私もまだ洗脳されてます)

 

バラエティ番組で頭の良い女の子よりも、ちょっと頭弱い系の女の子の方が人気があるのも、アニメの中で女の子が華奢で弱そうに描かれているのも、女性雑誌のメイク法のほとんどが男性受けを狙ったものであることも。

冷静に考えたら、いや、私たち、そんな感じじゃないんですけど。ってなるんですよね。

でもそれに気づけない女性達はずっと男性目線の女性像を演じ続けなきゃいけなくて、気づいてしまった女性達は「モテない奴の戯言だ」って言われちゃうんです。

これって変ですね。ほんと。

 

フェミニズムは政治的な領域である

무엇보다 페미니즘은 평화주의가 아니며 도덕성 투쟁이 아니다.

引用 p33-34 『나는 내 파이를 구할 뿐 인류를 구하러 온 게 아니라고 』

(以下私が意訳したものです)

    ”何よりも、フェミニズムは平和主義でもなく道徳性の闘争でもない。”

내 기분 좋자고, 힐링하려고, 더 멋진 나로 꾸미려고, 더 나은 남자를 찾으려고 하는 게 페미니즘이 이닌 사실. 자기계발이 아닌 정치의 영역이라는 사실. 페미니즘이 남성 중심 사회와 가부장제를 향한 생존 투쟁이자 해방 운동이라는 기본적 합의가 이루어지면 여자들은 많은 것들로부터 자유로워진다.

引用 p33-34 『나는 내 파이를 구할 뿐 인류를 구하러 온 게 아니라고 』

(以下私が意訳したものです) 

    ”自分の気分が良くなるように、ヒーリングしようと、もっとかっこいい自分に見せるために、もっと良い男性を探すためにするのがフェミニズムではないということ。自己啓発ではなく政治の領域であるということ。フェミニズムが男性中心社会と家父長制に立ち向かう生存闘争であり解放運動であるという基本的な合意がなされれば、女性達は多くのことから自由になれる。”

 

フェミニズムは政治的な領域だ。

これを常に心にとどめておかないと、だんだん何のために、誰に向けて闘争しているのかわからなくなっちゃいますね。

個人がスッキリするために、どうのこうのいうのではなくて、全ての女性が奪われている権利を取り戻すために行うのがフェミニズムの基礎であって、女同士が価値観が合う合わないといった個人的な理由で叩き合うのは、もってのほかの行為なんだな思います。

仮に性格や価値観の不一致があってもそこに着目するのではなく、共同の目標である”女性のパイを取り戻すこと”に向かって連帯する。

これが何よりも大事なことですし、もしそういった連帯がどんどん強固になればこの社会から性差別をなくすことだって可能なんじゃないかなと。

 

実際、韓国では様々な立場・年齢・職種の女性が手を組み始めているそうで、そういった話を聞くと、ほんと希望の光が見えてきますね。

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私は花ではない花火だ

 

시들지 않는다. 지지 않는다. 쉽게 잘려나가지 않는다. 나는 꽃이 아니다, 불꽃이다.

引用 p124『나는 내 파이를 구할 뿐 인류를 구하러 온 게 아니라고 』

(以下私が意訳したものです) 

    ”枯れやしない。負けやしない。簡単に切り取られやしない。私は花ではなく花火だ。”

これは、コピーライターである著者が考えた、ある広告のキャッチコピーなんですが、めちゃくちゃ良い言葉だなと。そしてさすがコピーライターさん。言葉のチョイスも最高だなと。

 

今まで女性は男性の隣を飾る花のような扱いを受けてきましたが、もうそんな存在でいるのはごめんだって多くの女性が思い始めているんですよね。

大人しくてか弱い花じゃなく、花火になってやる。

”反抗しない優しい子”という長年の呪縛から解き放たってくれる魔法の言葉なような気がしてきます。

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自分の人生を生きる覚悟 

예고하건대 , 나의 이야기는 2,30대 여성들이 듣고 싶어 하지 않는 이야기가 될것이다. 그럼에도 굳이 하는 이유는 내가 좀 더 어렸을 때, 한참 회사를 다닐 때, 누가 이런 얘기를 해줬으면 어땠을까 하는 아쉬움이 크기 때문이다.임신과 출산이 그렇듯 정말 여자에게 필요한 정보들은 걸러지고 차단되고 미화된다.

引用 p14 『나는 내 파이를 구할 뿐 인류를 구하러 온 게 아니라고 』

(以下私が意訳したものです) 

    ”予告するが、私の話は2,30代の女性達が聞きたくない話になるだろう。にも関わらずあえて話すのは、私がもう少し若かった時、しばらく会社に勤めていた時、誰かがこういう話をしてくれていたらどうなっていただろうかという悔いの気持ちが大きいからだ。妊娠や出産がそうであるように、女性に本当に必要な情報は取り除かれ、美化される。”

 

正直、この本を読んでいる時の心情は、非常に複雑なものでした。

”知らなかった事実を知れた嬉しさ”半分、”何も知らなかった時のほうが実は幸せだったんじゃないかという後悔”半分。

 

でも私自身20代中盤に差し掛かり、周りを取り巻く環境や周りが自分を見る目が変わってきたんですよね。

今まで目を背けて”そういうものだ” と思っていたものが、だんだん自分の人生を通せん坊している感覚。

これは決して無視できないものになってきてるな、と思っていた時にこの本に出会ったわけです。

 

男性と女性は平等なんだ。社会は実力があれば認めてくれるんだ。努力していれば女性であろうが機会は与えられるんだ。

こういった盲目に信じていたことが跡形もなく砕かれてしまった以上、自分の進むべき道を責任を持って考えていかなきゃいけないなと思っています。

 

結婚したら幸せになれる。とか、子供を産んだら母性で育てられるとか。仕事と家事を両立できるかっこいい女性になりましょうとか。

そういった不都合なものが取り除かれ美化された話よりも、これからは女性が人生をかけて体験した生の声を私は信じたいなと思います。

 

 

★★★

ということで今回は、家父長制との闘争を綴った韓国エッセイ『私は自分のパイを求めるだけ 人類を求めてきたわけじゃなくて』自分の役割を取り戻したい女性のための野望エッセイ』の紹介でした。 

私は今年の夏頃にこの本に出会ったのですが、数ページ読み、また前のページに戻って読み返し....と結局3ヶ月くらいかけて読みました。

薄い本ですが内容が濃くて、自分の中で消化するのに時間がかかった1冊です。

 

現在は韓国語版しかありませんが、韓国語がわかる方は是非是非読んでみてくださいね。

 

 

日本語翻訳版も発売予定とのこと

 

ちなみに、まだ詳細は確認できていないんですが、著者キム・ジナさんのTwitterに、日本語版発売が決定したと書いてありました。

切実に願っていたので、嬉しくてたまりません!

 

また、韓国フェミニズムと私たち という本にも、この本と著者キム・ジナさんのインタビューが載っているので、気になる方は是非とも読んでみてくださいね。

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ではっ!

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