こんにちは、 そみ(@somi_koguma) です。
2020年の始まりと共に読み始めた本があるんですが、それがこちらの『韓国語 エッセイ『そのままあふれ出てもいいですよ』という韓国のエッセイ。
大好きな韓国のフォトグラファーさんが紹介していた本ということで、読んでみたのですが、最近読んだエッセイ本とは一味違った1冊でして。
この本は間接的な表現がたくさん登場する、エッセイでありながらも詩のような1冊でした。
読んでいる間中、温かい言葉たちが優しく背中をさすってくれているような感覚があり、本を読んで心を治癒するというのはこういうことなんだ...と改めて思えました。
今回は
- ・韓国語で詩を読んでみたい
- ・心の傷を癒したい
- ・読んでホッとする韓国エッセイを探している
こういった方におすすめしたい1冊『そのままあふれ出てもいいですよ』の中から印象深かった言葉をいくつかピックアップし、皆さんと共有したいと思います。
※今回紹介する本は韓国語で書かれた本です。
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平均的な幸せは存在しない
신경 과학자 마이클 밀러는 뇌 영상 분석을 통해 단 한 명도 동일한 조건에서 동일한 부위가 반응하지 않다는 걸 발견하죠. 개개인별로 독자적인 패턴이 존재했거든요. 이처럼 평균적 인간이란 존재하지 않습니다. 그것은 관리와 통제를 위해 산업사회가 만들어낸 허구적인 개념에 가까워요.
우리는 평균이 존재하고, 그에 맞게 조율을 시도하면 대체로 만족할 만한 결과를 얻을 수 있다고 쉽게 믿죠.
引用:그냥 흘러넘쳐도 좋아요 P147
(以下私が意訳しました)
(神経科学者、マイクルミラーは脳の映像分析を通して、同じ条件で同じ部分が反応する人が1人もいないことを発見しました。個々人がもつ独自のパターンが存在していたのです。
このように平均的な人間というものは存在しません。
それは管理と統制のために産業社会が作り出した虚構の概念に近いです。
私たちは平均が存在し、それに合うよう調節すれば、満足のいく結果が得られるだろうと信じてしまいがちです。)
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誰一人として同じ条件で同じ脳の部分が反応しない、という神経科学者のお話。
これ、個人的にかなり衝撃的でして。
人の脳ってすごいなと。人間の可能性はすごいなと。語彙力が小学生レベルですが、改めて思ったわけです。
と、同時にその可能性をつぶしまくっている社会のシステムは改めて悪だなーとも思いました。
だってみんな独自の脳の動きを持ってるのに、それを無視して型にはめて洗脳しちゃってるんですから。
現代社会の画一的な教育や労働スタイルが、どれだけ人々にプレッシャーを与えているのかを改めて考えさせられる一文でした。
「自分は他の人と同じことができない」「平均になれない」ってよく悩みがちですが、それはまんまと世の中のシステムにはめ込まれているからなんだと思うと、なんだか悔しくなってきますね。
完全にその呪縛から解き放たれることは難しくても、平均であることが良い!と盲目に信じないほうが自分を大切に生きていけるような気がします。
幸せの条件
행복의 다른 이름에 대해 생각했어요. 고마움이 아닐까 싶어요. 내가 이미 가지고 있는 것의 귀함을 아는 마음. 주위에 이미 존재하는 행복을 더 깊게 느낄 수 있는 예민한 더듬이를 가지고 싶습니다.
引用:그냥 흘러넘쳐도 좋아요 P152
(以下私が意訳しました)
(幸福の違う名前について考えました。それは”ありがたみ”じゃないかと思うんです。自分がすでに持っているものの大切さを知る心。周囲にすでに存在する幸福をもっと深く感じられる鋭い触角をもちたいです。)
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小さなことに、すでにあるものに感謝する。
よく言われることですが、消費や成長、意義のあることを追求する社会で、これほど難しいことはないんじゃないかなと思います。
最近、身の回りの人の変化や、自分の変化をみて「人間ってどこまでも欲深くなれるんだな」と思うことが増えてきまして...
こういうタイミングだったからか、”幸せ=ありがたみ”という筆者の言葉が重く心に突き刺さりました。
この言葉が人生から抜け落ちてしまわないよう、何回も何回も手帳に書いて、定期的に思い出さないといけないなと思っています。
時々、人生にも句点を。
바쁠수록 우리에게는 빈 공간이 필요해요. 여유가 있을 때 우리는 비로소 똑같은 일을 다르게 바라볼 수 있어요. 동료의 실수를 그의 무능함이 아닌 피곤함으로, 짜증을 연민으로 해석할 수 있게 되죠.
만약 당신의 인생이 하나의 긴 문장이라면, 거기에는 반드시 쉼표가 필요합니다.
引用:그냥 흘러넘쳐도 좋아요 P198
(以下私が意訳しました)
(忙しくなればなるほど私たちには空いた空間が必要です。余裕がある状態になって初めて、私たちは物事を違う視点からみることができるのです。同僚の失敗を無能からくるものではなく疲れからなのだと、苛立ちを同情として解釈できるようになります。
もしあなたの人生がひとつの長い文章であるなら、そこには必ず句点が必要なのです。)
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いくら賢明な人でも、いくら優しい人でも、生きるのがやっとみたいな状況に陥ると、思考回路が歪み、普段は気にならないことに腹が立ったりするものです。
私も普段から本をたくさん読み、自分なりに内面を整えるよう気を付けていますが、仕事がうまくいかなかったときや不安なことが重なったときは、びっくりするような思考回路になってしまうこともしばしば。
『忙しいときほど余裕のある時間を持て』という筆者の言葉は、実際問題むずかしいことではあるんですが、本当に大切なことなんですよね。
いくらいい内容の文章でも、その文に句読点が全くなかったら息が詰まりそうになるのと同じで、どれだけ頑張って生きていても、そこに余裕がなければ窮屈で深みのない人生になってしまいます。
日本の街を歩くたび、ニュースで悲しい事件を見るたび、自分や周りの人の思考回路が歪むたび、つくづくこの社会にはもっと余裕が必要だなと感じます。
”休まず、根性で乗り越える!”という美徳が消え去ること。そして”休むことはよく生きることの土台”だということを、誰もが当たり前のように実践できる世の中になることを願います。
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時には、そのまま溢れ出てもいい
때로는 약함을 내보일 수 있는 게 진짜 용기니까요. 가끔은 그냥 흘러넘쳐도 좋아요.
맑은 날만 게속되면 시막이 된다죠. 비 온 후, 우리가 가장 아름다운 무지개를 볼 수 있는 것도 그런 까닭일 거예요.
引用:그냥 흘러넘쳐도 좋아요 P95
(以下私が意訳しました)
(時に弱さを出せることが本当の勇気ですから。時々、そのまま溢れ出しても大丈夫なんですよ。
晴れの日だけが続けば、砂漠になります。雨が降った後、私たちが一番美しい虹をみられるのも、そういった理由なのでしょう。)
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”感情を出す”ことをクールではないと考える人がこの社会にはとても多いですよね。
”男が泣いてはいけない”とか”ヒステリーになるな”とか。最近は子どもにまで「泣くな」と言う人がいるからびっくりします。
もちろんTPOに合わせて感情をコントロールすることは必要ですが、あまり過度になってはいけないなーと。
といっている私も大人になるにつれ、感情を思いっきり出すことが減ってきたように思います。
いくら辛くても笑顔でいられるようになったし、いくら悲しくても何ともない顔をできるようになった。子どものときにはできなかった技を、悲しいことに完璧に習得してしまったんですよね。
本の中で、”子どもは涙をたくさん流すけど、大人はあまり涙を流さなくなる。でも大人の場合、涙の違う形として、胃酸やストレスホルモンがダダダーッと分泌されるんじゃないか”って書いてあったんですよね。
ああ、納得。確かに大人になるにつれ、胃が痛くなることが増えてきたなと。
子どものときみたいにワーワー泣く代わりに、体の中で泣いてたんだと思うと「ああ、わたしの体、ごめんね」って、もっと労わらなきゃいけないなって。
皆さんも「あ、そういえば涙を流す回数よりも胃痛が増えてきたなー」と思ったら、要注意ですよ。
私たち、もっと人間味を大切に生きましょう!
★★★
ということで今回は『韓国語 エッセイ『そのままあふれ出てもいいですよ』の紹介でした。
今回ピックアップした文章はほんの一部で、この他にも、筆者の経験談や筆者が読んだ詩、ニュースなど多様な視点から話が展開されていて、途中で飽きることなくどんどん読み進めることができました。
文章が持つ不思議な温かみが感じられる1冊です。
皆さんも、ご飯をゆっくり噛むように、1文字1文字をじっくり味わいながら読んでみてくださいね。
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