Koguma

自由に生きたい韓国マニアのゆったり生活

韓国本『二度とその前に戻らないだろう - 進化するフェミニズム』で昨今の韓国フェミニズム歴史を振り返る。

 

こんにちは、そみ(@somi_koguma) です。

 

 

先月、韓国でn番部屋事件という惨い出来事がありましたね。

 

内容が衝撃的すぎて、しばらく身体が使い物にならない状態になってしまったのですが、最近は無気力感が怒りに変わり、フェミニストとして声をあげていく決意がさらに確固たるものになりました。(とはいえ無気力と怒りを何度も行ったりきたりするのは、かなりの気力を消耗します....)

日本国内でもn番部屋事件と同様の出来事が日々起こっていて、女性を取り巻く環境は依然として不安と恐怖に包まれた状態。

私たちにできることは、ひとりでも多くの人がフェミニズムを学び、日々の小さい事柄にも問題意識を持つこと。そして余裕があれば声をあげることだと思っています。

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私は普段フェミニストと名乗っていますが、まだまだ知らないことも未熟な部分もあるので、日頃からフェミニズム関連の書籍をたくさん読み、様々な声や意見をインストールし自分なりに消化し.....を繰り返しています。

 

で、最近も韓国のフェミニズム本『 二度とその前に戻らないだろう - 進化するフェミニズム』 著:クォンギム・ヒョニョン』を読んだのですが、韓国のフェミニズムの歴史や流れが把握できる良書でして、これはブログで紹介せねば!と思い、今日もパソコンを立ち上げたわけです。

 

ハイレベルな韓国語力が問われる本でしたが、韓国のフェミニズムに興味を持っている方には是非とも頑張って読んでほしい1冊でした。

 

 

※今回紹介する本は韓国語で書かれた本です。

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2000年以降 時代を代表するフェミニズム問題を集めた1冊

 

 

この本は、2000年以降に韓国や世界で起きた性差別、犯罪、そしてそれをきっかけにおこったフェミニズム運動の歴史を多様な事例から見つめた1冊。

 

主に2003年〜2019年に起こった出来事、江南通り魔事件やバーニングサン、クィア文化祭の妨害行為、82年生まれキム・ジヨン、MeToo運動、メガリアとミラーリングなどなど数多くの出来事を元に、フェミニスト活動家の筆者が鋭い社会考察を巡らしています。

 

ちなみに以前Twitterにも書いたことなんですが、筆者の苗字は、”クォンキム”でして。

これは家父長制に抵抗する意味で、両親の苗字を取り入れているんだとか。

 

最近はそういう人が増えているそうですね。いいことだ。

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この本には社会的に話題となった事件はもちろんのこと、私たちが日常の中で向き合わなければいけない問題、例えば家父長制度やデート暴力といった内容にも言及されており、身の回りの人間関係を見つめなおす機会をくれる1冊でもあるなと思いました。

 

個人的なことは政治的なこと。

あまりにも有名な言葉ですが、本を読みながら何度もこの言葉が頭に浮かびました。

 

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この本の中にはたくさんの話が詰まっているので、ひとつひとつ紹介することはできませんが、いつものように印象深かった部分をいくつかピックアップし、感じたことなどを書いていきたいと思います。

  

フェミニズムの目標とは何か

 

何度説明しても誤解され、勝手に歪められるフェミニズムの目指すところ。

おそらく筆者も今まで何百回も説明してきたのでしょう。それでもわからない人がいるのか、本の冒頭部分にフェミニズムの本当の目標が書かれていました。

 

페미니즘의 목표는 권력을 남성으로부터 '탈환' 하는 데 있는 게 아니라, 권력에서 폭력을 제거하고 권력의 의미를 바꾸는 데 있다. 그리고 내 생각에 페미니스트는 답이 없는 두 선택지에서 억지로 답을 고르는 게 아니라 선탁지를 늘리거나 질문 자체를 바꾸는 사람이다. 

引用: 『二度とその前に戻らないだろう - 進化するフェミニズム』クォンキム・ヒョンヨン著 P5

(以下、私が意訳した文です。) 

    フェミニズムの目標は権力を男性から’奪還’することではなく、権力から暴力を取り除き、権力の意味を変えることだ。そして私の考えるフェミニストとは、答えのない二つの選択肢から無理やり答えを選ぶのではなく、選択肢を増やしたり、質問自体を変える人のことだ。

 

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フェミは男性より上に立とうとしている。わがままだ。といった歪んだ嫌悪が蔓延っていますが、フェミニズムが目標としていることは”平等”であり、女性への暴力や差別を無くすことです。

 

また「嫌なら違う選択をすればいい」「なぜ社会のせい、男のせいにするのか」と言う人がいますが、そもそも女性に自由な選択肢など十分用意されていないんですよね。

男性中心社会では、準備されている選択肢が男性目線のものが多く、女性や性的少数者はその中から無理やり選びながら生きなければいけない。

 

A、B、Cの選択肢があるから、ここから選べ。それ以外の選択肢など女性が作るものではない。

こう言われることが多いんです。

 

一番わかりやすいのが結婚制度ですが、家父長制をベースにした今の結婚制度は女性の声を無視していますよね。夫婦別姓を巡ってもいまだに戦前のような意見を言う人がいます。

 

フェミニズムは無視され、ないものとされてきた女性の声がしっかり社会に反映され、暴力や差別に怯えることなく生きられる社会の実現を目指しています。

 

まずは目指すところをしっかり認識していないと、逆差別だ!といった言葉に動揺しちゃうので、フェミニズム問題に向き合うにあたって再度頭に叩きこんでおきたいなと思いました。

 

82年生まれキム・ジヨンが訴える新しい形の性差別

 

없어진 것은 성차별이 아니라 성차별이 있다고 말하는 목소리들이었다. 

引用: 『二度とその前に戻らないだろう - 進化するフェミニズム』クォンキム・ヒョンヨン著 p10

(以下、私が意訳した文です。) 

    無くなったのは性差別ではなく、性差別があると訴える声だった。

 

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フェミニストなら誰しも聞いたことのある「この時代に男女差別なんてないでしょ」「女の被害妄想だ」という言葉。

筆者はこの現状こそが、現代女性が感じている”名前のつけられない問題”なのだと指摘していました。

 

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女性が感じる”名前のつけられない問題”を世に大きく認知させたのが『82年生まれキム・ジヨン』ですよね。

差別をもう過ぎ去った古くなった問題のように見せること、違和感を言及することに拒否感を感じさせることが、新しい形の性差別だということを私たちに教えてくれた作品です。

 

私自身もこの作品のおかげで、性差別の存在をはっきり感じられなかったのは、女性の声が十分に社会全体に響いていなかったからという事実に気付けました。

 

性差別が消えたのではなく、声が消えたのだ。

 

この視点はフェミニズムを学ぶ必要がなくなる時代がくるまで胸に刻んでおきたい言葉だと思います。

 

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既存の女性像とは違う態度を

 

여성들이 자신의 여성성을 의심받지도 않고 남성의 남성성을 훼손하지도 않으면서, 문제를 제기하고 분노를 전달하고 의사를 분명히 표현할 수 있는 방법은 ' 없다'. 많은 여성이 상대를 무서워하거나, 엄마나 생리핑계를 대면서 자신은 사실 아무런 결정권이 없다고 에둘러 말하는 '여성적'인 태도로 순간순간을 넘긴다.

그래서 나는 기존의 여성적인 태도와는 걸맞지 않은 단호한 태도로 상대방의 행동에 대해 "싫다"고 말하는 여성들의 존재가 소중한다고 생각한다

引用: 『二度とその前に戻らないだろう - 進化するフェミニズム』クォンキム・ヒョンヨン著 p40

(以下、私が意訳した文です。) 

      女性たちが自身の女性性を疑われることなく、男性の男性性を傷つけることもなく、問題提起し、怒りを伝え、意思をしっかり表現できる方法は’ない’。多くの女性が相手を怖がったり、母親や生理を言い訳にしながら、自分には何の決定権もないと遠回しに言う”女性的”な態度で瞬間瞬間を乗り切っている。だから私は既存の女性的な態度に合わない断固とした態度で相手の行動に”嫌だ”と言う女性の存在が大切だと思う。

 

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セクハラ加害者の男性はよく「彼女はいつも笑顔で僕に接してくれていたから好きなのだと思った。」「嫌な素振りを見せなかった」といいますが、そういう言葉を聞くたび何もわかってないんだなあとつくづく思います。

 

男性から攻撃されないよう、自分の身を守るために嘘の笑顔をつくり、褒め称える。

これは女性が無意識のうちに身につけた自己防衛なんですよね。

 

私自身も今までそうして生きてきましたが、このまま女性が我慢していても何も変わらないなと思ってからは、男性に求められる女性像から少しずつ離れるようにしています。

 

많은 여성은 부정적인 감정을 부인하도록 체계적으로 훈련을 받아왔다. 그래서 웃어야 하지 않을 때도 웃는 경향이 있다.

많은 페미니스트는 여자가 사람들의 기대와 달리 웃어주지 않는 것부터 페미니스트로서 실천을 시작할 수 있다고 말했다.

引用: 『二度とその前に戻らないだろう - 進化するフェミニズム』クォンキム・ヒョンヨン著 p236

(以下、私が意訳した文です。) 

      多くの女性は否定的な感情を否認するよう体系的に訓練されてきた。だから笑うべきでないところで笑う傾向がある。多くのフェミニストは、女性が人々の期待に答えて笑おうとしないことが、フェミニストとしての実践の始まりだと言った。

 

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面白くない話には笑わないし意見もはっきり言うし、目の前の男性を無理やり褒めようなんてこともしない。

怒ってるときは怒ってる表情をするし、あらゆる感情を苦笑いで乗り越えることもしない。

そうやって少しずつ自分の感情に正直に生きることが社会を変える一歩なのかもしれません。

 

この文を読むと、外国でcatcallingされて苦笑いで対応してしまったこととか、男性の武勇伝にいかにも感心しているかのような素振りをしてしまった過去を深く後悔しますね。

 

「生意気な女」「女性らしくないやつ」と思われるのが怖くてたまらないけど、少しずつ抵抗し、周りの人も巻き込んでいくことがフェミニズムを学んでいる者の使命なのかなと思っています。

  

韓国フェミニズムの流れを深く知りたい人におすすめ

 

冒頭にも書きましたが今回紹介した言葉はほんの一部で、 これ以外にもたくさんの女性の声、そしてそれを押さえつけようとする声がこの1冊に詰まっています。

正直筆者の意見に共感できない部分もいくつかありましたが、鳥肌が立つほど共感できた部分も数多くありました。

 

また、人の感情や生き方というのは一言で表すことができないということ、あらゆる出来事や事例を多様な角度から見つめることの大切さを改めて学んだ1冊でした。

フェミニズムだけに限らず、この社会を生きていくにあたって大切な視点を学べます。

 

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ちなみにフェミニズムに興味がある私にとっては読み応えは抜群だったんですが、入門書ではないなという印象でした。

私は一応TOPIK6級程度の語彙力はありますが、それでも難しい用語や言い回しがたくさん出てきたので、読みおえるのに少し時間がかかりました。

 

そのため、ある程度フェミニズムの知識がある方や韓国語でニュースや新聞が理解できるレベルの人におすすめできる本だと思います。

 

でも、韓国のフェミニズムに興味のある方なら絶対読んでおきたい1冊なので、韓国語ができる方は少し背伸びしてでも読んでみてくださいね!

 

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