Koguma

自由に生きたい韓国マニアのゆったり生活

【韓国エッセイ】ハ・ワンさんの新作エッセイ『私は横顔がもう少しマシなんですが』を読んでみました。

 

どうも、そみ(@somi_koguma) です。

 

韓国でも日本でもベストセラーになった『あやうく一生懸命生きるところだった 』 の著者ハ・ワンさんが、7月に新作エッセイを発売されました。

 

自分のペースでゆるく生きたい私にとって、前作は今でも定期的に読み返すバイブル的なエッセイでして、新刊のお知らせを聞いたときは嬉しくてすぐにポチっちゃいました。


 

新刊『저는 측면이 좀 더 낫습니다만 (意訳:私は横顔がもう少しマシなんですが)』も前作に続き、社会の決めた基準から距離を置き、自分に合った幸せの形を求める筆者の体験談が書かれていまして。

評価され、煽られ、否定される現代社会でガチガチになった肩をフッと緩めてくれるエッセイでした。

 

私もここ最近仕事が忙しくて頭がパンクしそうだったので、このエッセイを読んでいる時間がちょうどガス抜きになってくれた気がします。

ゆるさがありながらも人生の核心をついた言葉が詰まった1冊で、またこれも日本で発売されたら話題になるだろうなあと。

 

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ということで今回もいつものように、『私は横顔がもう少しマシなんですが』 の中で印象に残った部分と感想などを書いていこうと思います。

  

※今回紹介するのは韓国語で書かれた本です。

 

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私は横顔がもう少しマシなんですが

 

著者のハ・ワンさんは元々フリーのイラストレーターとして活動なさっていた方なんですが、自身初のエッセイ『あやうく一生懸命生きるところだった』が大ベストセラーとなり思わぬ形でエッセイストに。

長年望んでいたイラストレーターとしての成功ではなく、ひょいと始めた物書きで一躍売れっ子になったそうです。

プロフィールに대략 난감하지만...と書いておられるのを見ると、人生のアイロニーさに苦笑いという感じなんでしょうね(笑)

 

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イラストレーターとしては低迷気味だったのに、文章で一躍売れっ子エッセイストになったハ・ワンさん。

人生が思わぬ方向に流れて行き、今のような状態にたどり着いた経験を今回の新作エッセイの中でもたくさん語っておられまして。

「人は真っ向勝負がすべてではない。」「人生はどのように流れていくか誰にもわからない。」「地味だと思っていた長所、魅力が思わぬ形で人生に良い影響をもたらすこともある。」といったメッセージが彼の文からひしひしと伝わってきました。

  

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「人生はどのように流れていくかわからない。」「自分や他者の可能性を断定することはできない。」というのは、目まぐるしく変化するこの社会でいつも思うことなのですが、それでも不安からくる”明確な答え探し”はなかなか止められないものでして。

ついつい、わかりやすい物差しで自分や他者を測り、一生変わらない確固たるものを見つけようと必死になっちゃうんですよね。

 

著者も長年、自身の価値観と世間の価値観の狭間で苦しんだ経験があり(今も?)、どのエピソードからもそういった数々の葛藤が垣間見えました。

 

現代を生きる人(特に若い世代)なら彼のエピソードを読むと「ああ....あるある。」と苦笑いしてしまうと思いますし、彼の惜しげもない悩み暴露(?)を読むと「やっぱりみんなも同じようなことを悩みながら生きているんだ。」と、まるで友人と悩みを共有しているときのようなホッとした気持ちになると思います。

 

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前作もそうでしたが、今回のエッセイにも彼の正直さとユーモアが滲み出ていまして。

隠したい過去や自分の失敗談もサラッと暴露しちゃう潔さがかっこいい。

一見深刻なトラブルさえも、ユーモアのある文とイラストで読む人の口元をフッと緩ませてしまうから不思議です。

 

もちろん本人は渦中にいたとき深刻だったんでしょうが、その経験をうまく消化し教訓を得ている姿勢が素敵だなと。

 

こうやってエッセイとして外に出すまでに、どれだけの自問自答を繰り返してこられたんだろうか...と想像しながら読んでいました。

 

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ではここからは、印象に残った部分をいくつか紹介していきたいと思います。

 

人の正面だけでなく側面を見る姿勢

 

옆얼굴엔 그 (그녀) 의 이면이랄까 본모습이랄까, 전혀 다른 얼굴이 있다. 정면에선 보이지 않던 슬픔이나 매력, 혹은 말 못할 비밀. 

(中略)

그에게도 내가 모르는 모습이 많다는 당연한 사실을 새삼 깨닫고 놀란다. 그런 이유로, 한쪽면만 보고 사람을 판단해선 안 될 일이다. 타인뿐만 아니라 나 자신을 볼 때도. 

引用:『저는 측면이 좀 더 낫습니다만 』P18 

 

 以下、私が意訳した文です。 

(横顔には彼、彼女の裏面というか素顔というか、全く違う顔がある。正面からは見えなかった悲しみや魅力、もしくは話せない秘密。) 

(この人にも私の知らない姿がたくさんあるのかと、当たり前の事実に改めて気付き、驚くことがある。だから、一面だけを見て人を判断してはいけないと思う。他人だけではなく自分自身を見るときもだ。)

 

누군가를 잘 안다는 건 그 사람을 한마디로 정의할 수 있는게 아니라 그 사람의 다양한 면면들을 많이 아는 것이 아닐까 싶다.

引用:『저는 측면이 좀 더 낫습니다만 』P237 

 以下、私が意訳した文です。 

("誰かのことをよく知っている"というのは、その人を一言で定義できるという意味ではなく、その人の多様な面をたくさん知っていることを言うのではないかと思う。) 

 

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不透明、不必要なものを受け入れる人生

 

나는 아직도 무엇이 이런 결과를 낳았는지 알지 못한다.그리고 내년엔 또 어떻게 삶이 변할지 짐작도 안 된다.

 (中略)

삶이란 단순하지 않아서 어떤 한 가지 원인으로 결과에 이르는 게 아니라는 걸 이제야 안다. 그리하여 모든 것이 내 책임이고 내 노력 탓이라는 생각을 좀 버렸다. 그건 참 오만한 생각이었다.

引用:『저는 측면이 좀 더 낫습니다만 』P101

 

 以下、私が意訳した文です。 

(私は今も何がこのような結果を生んだのかわからないでいる。そして来年、またどのように人生が変わるのか見当もつかない。) 

(人生とは単純なものではない。結果の背景にはいくつかの原因が存在することに私はやっと気づけた。そして、全てのことは自分の責任で、自分の努力のせいだという考えを捨てた。これは本当に傲慢な考えだったと思う。)

  

향수를 만들 때 ' 인돌 ' 이라는 화합물을 넣는다. 인돌은 아주 불쾌한 냄새를 가지고 있다.

(中略)

신기하게도 이 인돌을 묽게 희석해서 향수에 섞으면 평범했던 향이 생생한 향으로 변한다.

(中略)

수많은 좌절, 이별, 후회, 아픔, 분노, 죄책감....결코 유쾌하지 않았던 경험들이 더해져 진짜를 알아보게 된 내가 있다. 겪을 당시엔 불필요하다고 생각했던 것들이 내 삶을 생생하게 살아 있게 한다.

 

引用:『저는 측면이 좀 더 낫습니다만 』P264-265

 

 

 以下、私が意訳した文です。 

(香水を作るときに’インドール’という化合物を入れる。インドールはとても不快な匂い成分だ。) 

(不思議なことにこのインドールを薄めて香水に混ぜると、ありきたりな香りが生き生きとした香りに変化する。)

(数々の挫折、別れ、後悔、痛み、怒り、罪悪感...決して愉快ではない経験によって、私は真実に気づけるようになった。渦中にいるときは不必要だと思っていたことが、私の人生を生き生きとしたものにしてくれたのだ。)


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正面(パッとみてわかる外見や経済力、スペック)だけで一瞬にして評価され、物のように扱われる社会に生きているせいか、私たちは自分や他人に向ける物差しが単純になりがちです。

「あなたらしさ」を謳いながらも正面しか評価しない社会に抵抗するためには、その基準を自分の中に取り込みすぎないこと、自分が感じている劣等感や不幸は相対的なものだということ頭に叩き込んでおくことが大切だなと、彼のエッセイを読んで思いました。

そうしないと、一生何かに追われている気分になっちゃいますからね...。

 

またハ・ワンさん自身が考える長所は、"高い自己合理化能力"だそうで(笑)

合理化って悪い意味で使われることがほとんどですが、誰かを傷つけたり迷惑をかけない範囲であれば、自分を合理化して開き直るってことも時には必要なのかなと思います。

条件なしに自分を肯定することが、毎日を楽しく生きる原動力になったりしますからね。

 

 

★★★

ということで今回は『私は横顔がもう少しマシなんですが』の紹介でした!

 

『あやうく一生懸命生きるところだった』以降の著者の暮らしについて、過去の経験について、日常の些細な出来事について、さまざまなテーマのお話がつづられていて、最後まで飽きることなく楽しく読めました。

ライトな文体でサクサク読めるので、休息時間に負担なく読めるエッセイを探しておられる方におすすめできそうな1冊です。

韓国語がわかる方は是非読んでみてくださいね!

 

 

また、ハ・ワンの前作『あやうく一生懸命生きるところだった』もまだお読みでない方は是非合わせてどうぞ!

 

韓国語版▼ 

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