韓国エッセイ『3nの世界- 30代韓国女性が経験したアンスペクタル奮闘記』を読んでみました。

※本ページはプロモーションが含まれています

 

皆さん、どうも〜。そみ(@somi_koguma) です。

 

本日27歳になりました。(心は23歳で止まってますが......)

 

10代に思い描いていた”20代後半の自分”は、パートナーがいて、会社でバリバリ働いていて、子どももいる、仕事も子育ても頑張る女性でした。

昔から恋愛にもあまり興味が持てず、集団生活にも馴染めず、みんなが簡単にできることができない状態だったのにも関わらず、大多数が進む人生コースを当然自分も進めると思っていたし、それが幸せの形だと思っていたんですよねえ。

あの頃はハードに生きてた。毎日自己否定をしながら、平均に必死にしがみついていた。

 

そして現在、恋愛もせず(そもそもノンセク、リスロマ傾向なのでできない) 、在宅フリーランスとして働き、好きな人とだけ付き合い、苦手なことはきっぱり諦めて得意なことに特化する生き方をしている。

 

10代の頃に思い描いていた姿と全然違うけど、やっと自分らしく生きられるようになり今ようやく人生が動き始めた感じ。

 

このブログでも何度も書いていますが、この年齢になって度々思うのが「もっと早い段階で、一般的な人生コースから降りた女性の話を聞きたかった....」「20代後半〜30代女性のリアルな声を知りたかった」ということ。

 

で、最近読んだ韓国本『3nの世界ー 30代の韓国女性が経験したアンスペクタクル奮闘記 』も、10代の頃にこの本を読んでいたら、あんなに焦る日々を送らなかっただろうなあと思えるような1冊でして。

「もっと違和感に抵抗してよかったんだ。」女性の人生モデルコースに従わなくてもよかったんだと思える、女性をエンパワしてくれる内容でした。

 

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てことで今回は 

  • 30代女性のリアルな声が聞きたい
  • 結婚や出産への圧に疲れている
  • フェミニズムに興味がある

という方におすすめのエッセイ本、『3nの世界ー 30代の韓国女性が経験したアンスペクタクル奮闘記 』を紹介していきたいなと思います。

 

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3nの世界  30代韓国女性のリアル生活エッセイ

 

このエッセイは、作家パク・ムニョンさんが20代から30代へ、未婚から既婚へ、首都圏から地方へ移動しながら経験したことを元に書いた人生奮闘記。

仕事、ダイエット、結婚、出産、格闘技、アルバイト、、、などなど多様なテーマについて書かれていましたが、著者がフェミニストということもあって一貫して女性の連帯を促す内容、女性を勇気づける内容が多い印象でした。

 

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https://twitter.com/somi_koguma/status/1356559981026242560

 

例えば、親戚や地位の高い人からセクハラされた話、脱コルセットをしたらいきなり透明人間扱いされた話、ノーブラの話、性暴力のトラウマから格闘技を学ぶ話、生理の話、子供を生まない選択をした話.....などなど、絶対にみんな抱えているのに、避けられがちな話題について。

 

女性なら誰もが一度は考えたことがあること、経験したことがあることがオープンに書かれていて、仲の良い年上のお姉さんと話しているかのような軽やかで爽快なエッセイでした。

友達と思いっきりお喋りしてすっきりしたときのような感覚になる。

 

ユーモアと真剣さのバランスが絶妙。

楽観しすぎず、悲観しすぎず、熱くなりすぎず、冷めすぎず、心地いい温度感のエッセイでした。

 

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このエッセイは全3部構成でしたが、部によって内容が大きく分けられている印象はありませんでした。

また、著者が描いたイラストも何とも味があって、エッセイの面白さを倍にしてくれています。

 

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著者パク・ムニョンさんは、小説家、漫画家、イラストレーターとして活躍なさっている方でして。

このエッセイを読んで初めて知った方なのですが、SFとフェミニズムをかけ合わせた作品なども書いておられるそうで!

中でも、怒りを露にする男性が消えた世界、女性達のユートピアを描いた『地上の女達』という作品が面白そうなので、次回読んでみようと思っています。


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ではここからは印象深かった文章を紹介していきます。

 

女性がマ・ドンソクになりたがる社会は安全な社会なのか

 

귀갓길마다 마동석으로 둔갑하고 싶은 심정이다. 

체격과 근육이 클수록 안전한 사회가 어떻게 안전한 사회일까. 엄밀히는 사회에 이르지 못한 개체 무리, 이익집단에 가까울 것이다. 

引用:『3nの世界- 30代韓国女性が経験したアンスペクタル奮闘記』パク・ムニョン p20,21

 以下、私が意訳した文です。 

(毎日、帰り道のときマ・ドンソクに変身したくなる。体格や筋肉がたくましければたくましいほど安全。これのどこが安全な社会なんだろうか。厳密に言えば、社会になりきれていない個体の群れ、利益団体に近いだろう。)

 

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これ個人的にすごく共感した部分で、Twitterにもシェアしていたんですけど。

https://twitter.com/somi_koguma/status/1350713387634679810

「もし私がムキムキで強面の男だったら、絶対そんなこと言ってこないでしょ」って経験、この社会で生きている女性なら1つや2つありますよね。

女の身体であるだけ身の危険を感じる社会っていうのは、やはり異常な状態なわけで。この状態を当たり前だと思わないことが大切ですよね。慣れてしまわないこと。

時に「まじでマ・ドンソクになりたい...」と弱音を吐きつつも、この社会を少しずつ変化させていくための抵抗を続けたいものです。 

 

身体の声を聞き、仲良くなること

 

요가 시간이 아니면 상체와 하체를 만나게 할 일도, 전신을 수건 짜듯 비틀 일도, 신체의 구석구석 확인할 계기도 드물었다. 

引用:『3nの世界- 30代韓国女性が経験したアンスペクタル奮闘記』パク・ムニョンp32

 以下、私が意訳した文です。 

 (ヨガ以外の時間に、上半身と下半身が出会うことも、全身をタオルを絞るかのようにひねることも、身体の隅々を確認するきっかけもほぼなかった。)

 

생리 때는 여성으로, 생리가 아닐 때는 인간으로 사는 느낌 역시 분열적이다. 완경이 오면 모든 게 후련할까. 아니, 자유는 늘 늦게 찾아오고 그때도 다른 우울과 혼란을 데려올 것이다. 그러니 생리하는 본인의 몸을 맹비난하고 멸시하는 건 스스로를 불허하는 태도일 수 있다.

中略 

놀랍게도 세상은 성인 남성을 제외한 이들을 실체하는 존재로, 생애가 있는 생명으로 보기 힘겨워했다.

피를 흘리든, 피를 흘리지 않든 우리를 그 자체로 직시해달라는 건 누구에게 부탁을 해야 할 문제가 아닌데도.

 

引用:『3nの世界- 30代韓国女性が経験したアンスペクタル奮闘記』パク・ムニョン P126ー127

以下、私が意訳した文です。  

 (生理のときは女性として、生理じゃないときは人間として生きる。この感覚は分裂的だ。閉経すれば気分がスカッとするのだろうか。いや、違う。自由はいつも遅れてくるものだ。そしてその時もまた今と違った憂鬱、混乱が一緒にやってくるだろう。生理がある自分の身体を激しく責めたり、軽蔑したりすることは、自らを不幸にする態度なのだ。)

(驚くことに、世界は成人男性以外の人達を、実体のある存在として、命ある存在として見ることが難しいようだ。)

(血を流す存在であろうと流さない存在であろうと、私たちの存在自体を直視してほしい。この願いは、誰かに頼まなければいけないことではない。)


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”出産”を当然のように押し付ける社会で

 

인간이 고독과 불안을 피하기 위해, 미래의 나날을 위해 생명을 잉태한다는 건 적절한 행동일까. 

中略

어머니라는 초월자로 살아갈 수 있을까. 지구에 동북아시아 남한에 나를 닮은 인구 1인을 보태는 일은 정말 이로운가.

책임과 방임, 이타와 이기, 윤리와 본성, 오늘과 미래. 아이와 관련한 가치의 경계는 매일 불투명하다.

引用:『3nの世界- 30代韓国女性が経験したアンスペクタル奮闘記』パク・ムニョンp91

 以下、私が意訳した文です。 

(孤独と不安を避けるために、未来の日々のために、身ごもるのは適切な行動なのだろうか。)

(母という超越した存在として生きていけるのだろうか。地球に、東アジアに、朝鮮半島の南に、私に似た1人の人間が人口に加えられるのは果たして有益なことなのだろうか。) 

(責任と放任、利他と利己、倫理と本性、今日と未来、子供に関わる価値観の境界はいつも不透明だ。)

 

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여성 스스로가 충분히 고민할 시간을 주지 않는 곳에서, 선택이 끝났는데도 결혼과 출산을 종용하는 사람들 속에서 저출산은 강화할 것이다. 어머니 연습을 하고 있는 사람과 성장 중인 아이를 눈엣가시로 여기는 사회에서 누가 섣불리 용기를 낼 수 있을까. 세상에 나온 아이들에게 닿아야 할 보호와 존중, 애정과 책임도 아직 턱없이 모자란데

引用:『3nの世界- 30代韓国女性が経験したアンスペクタル奮闘記』パク・ムニョンp92

以下、私が意訳した文です。  

 (女性が十分に悩める時間を与えられない場所で、すでに本人の選択が終わったのにも関わらず、結婚と出産を強く勧める人々の中で、低出産率はさらにひどくなるだろう。母になる練習をしている人と、成長中の子供を目の敵にする社会で、誰が勇気を出せるというのだ。この世界に生まれてきた子供たちが受けなければいけない保護、尊重、愛情、責任が限りなく足りていないというのに。)

 

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筆者の出産観?には完全同意でして。まさに私が普段考えていること100%代弁してくださっている感じです。

産むのが当たり前みたいなことを言ってくる人がいるんですが、子供と女性が目の敵にされるこの社会を解決してから言いなさいと思っちゃうし、女性が命がけですることをよくも簡単に....と怒りが込み上げてきます。

こういう無責任な言葉に焦らされて、あまり考える時間がないまま出産を選んじゃう女性が大勢いるかと思うと本当に悲しいですし、お願いだからもっと尊重してくれよと思っちゃう。 

 

ちなみに自分は精神的にも経済的にも出産、子育ては無理だなあと思っていて…。

まず、子を育てる自分が全く想像できない。

こんな世の中に産んでやりたくない、人類が繁栄していくことにストップをかけたほうがいいんじゃないか...と思っている方なので、反出生主義に近いのかもしれないですね。

 

まあ、いずれにせよ、産みたくない人にも産みたい人にも、選択権と十分な余裕が与えられる社会になることを願いたいです。

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미혼에서 기혼으로, 20대에서 30대로, 수도권에서 지방으로 이동하며 이제껏 모은 소량의 진실을 밝히자면 사람 일은 모르며, 마음은 억지로 잡을 수 없고, 싫어하는 것과 좋아하는 것이 매일 늘어난다는 것뿐이다. 에너지는 흐르고 모든 관계에는 입구와 출구가 있다. 

引用:『3nの世界- 30代韓国女性が経験したアンスペクタル奮闘記』パク・ムニョンp101

以下、私が意訳した文です。  

(未婚から既婚へ。20代から30代へ。首都圏から地方へと移動しながら集めた少量の真実を明かすと、人生はどうなるかわからないし、心は無理矢理つなぎとめることはできないということ、そして嫌なことと好きなことは日々増えていくということだけだ。エネルギーは流れ、全ての関係には入口と出口があるのだ。)

 

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★★★

てことで『3nの世界ー 30代の韓国女性が経験したアンスペクタクル奮闘記 』の紹介でした。

ジェンダーギャップ121位社会を生きる私たちは、「女性は20代のうちに〇〇しないと終わり!」「30代以降は子育てと家事に生きろ!」「しかし美は保ち丁寧に生きろ!」といったメッセージを常に浴びながら生きているので、自分や周りの女性を責める癖がついている気がします。

だからもっと、そうしなくても幸せに生きている女性、圧力に抵抗し続けている女性の声を聞くべきだと思います。

他者の立体的で多彩な人生を頭にインストールしておくことで、いざというときに自分を守れるし、無意識に周りの女性を苦しめる可能性も低くなるのかなと。

 

フェミニズムのことがよくわからない方にも、とっつきやすい内容となっているので、今回の紹介で少しでも面白そう!と思った方は是非読んでみてくださいねえ。

 

みんなで”わきまえない女”になりましょう。