韓国本『非婚授業 - 楽しい1人家族の指針書』を読んでみました。

※本ページにはプロモーションが含まれています

 

こんにちは、そみ(@somi_koguma) です。 

 

私はまだ非婚主義と決めたわけではないんですが、普段から日本の婚姻制度に違和感を感じていまして。

互いに尊重し合えるパートナーと暮らすことになったとしても、今のところ結婚を選ぶことはないかなあと思っています。

 

とりあえず今は独身のまま気の合う人と生活をする方向で、情報収集や準備を進めています。

 

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で、今回紹介する『非婚授業 - 楽しい1人家族の指針書』も、生き方の選択肢を増やす過程で出会った1冊でして。

私の知っている限り、日本にはまだ非婚を決心した女性に向けたリアルな指南書ってなくてですね。

この本を見つけたときは「今の私に必要な本だ!」と、即買いしちゃいました。

 

もちろん韓国に住んでいる人向けの内容ではありますが、

    ・家父長制的な家族の在り方に違和感がある方
    ・結婚以外の生き方に興味がある方
    ・非婚を決心した方

にぜひおすすめしたい1冊でした。

 

今回もいつものように本の内容と印象に残った文章を紹介していきたいと思います。

 

※今回紹介する本は韓国語で書かれています。

 

韓国の非婚女性の急増と非婚コミュニティemif

 

以前から何度かTwitterで記事を共有したこともあるのですが、韓国は非婚を選ぶ女性が急増していて、婚姻制度から距離を置いたライフスタイルがニューノーマルになりつつあります。

非婚コミュニティの活動も日本よりも活発で、全国各地でワークショップやイベントなどが開かれているようです。

 

https://twitter.com/somi_koguma/status/1360145874320457732

 

この本の著者4人は、上記の記事に出てくる非婚団体emifのメンバー。そのため本書の中でも、団体の活動内容などがいくつか紹介されていました。


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非婚ライフの心構え、知識が学べる指南書!

 

非婚授業』 - 楽しい1人家族の指針書』は全4章に分かれています。

PART1(Expression)には非婚を取り巻く現状や、社会の認識について。非婚と未婚の違いや、非婚の正しい意味について。 

PART2(Myself)には、社会で当たり前とされている規範の矛盾を把握し、婚姻制度から距離を置いた人生の可能性について書かれていました。

PART3(Important)には、幸せな非婚ライフのために準備すること、知っておくべきお金の知識や生活の知恵など、より実践的な内容が。

そして最後の章(Fun)には、社会から否定的な視線を向けられたときに自分を守る方法、個々人が持っている潜在能力、人生をかけて自身を成長させる方法や方向性について書かれていました。非婚につきまとうイメージ、”孤独”についてもこの章で触れられていました。

 
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非婚のメリットや注意点、お金のこと、家の選び方、余暇の楽しみ方、動物や植物の育て方、人付き合い、共同生活のコツ、非婚コミュニティについてなどなど、幅広い内容がぎゅっとつまっていて、結婚以外の生き方に興味がある人から非婚を決意した人まで、有益な情報を得られる1冊でした。

 

私もフェミニズム本はたくさん読んだことがあっても、非婚ライフについて具体的に書かれた本は初めて。すごく新鮮な内容でした。


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あと、本の前半部分に非婚テスト(20個の質問)というものがあるんですが、読む前に自分の非婚度?がチェックできるのが面白かったです。

ちなみに私は20個中14項目に該当。非婚準備ができた中級者だそうです(笑)


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ではここからは、印象深かった部分をピックアップしていきます。

 

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結婚至上主義の社会で

 

결혼을 하면 행복할 수 있다는 데에 동의한다. 하지만 결혼을 한다고 모두가 행복해지지는 않는다. 그런데도 우리 사회는 결혼이 절대 선이라고 이야기한다. 결혼만 하면 세상만사 모든 문제가 해결되는 것처럼 말이다.

引用:『비혼수업』강한별 p33

以下、私が意訳した文です 

(結婚で幸せになれることには同意する。しかし、結婚したとしても全ての人が幸せになるわけではない。にもかかわらず、社会は結婚が100%善だと言う。まるで、結婚さえすればすべての問題が解決するかのように。) 

 

혼자 산다고 해서 무조건 보호자가 없거나 쓸쓸하고 위험한 환경에서 살아가는 건 아니다. 결혼을 해도 얼마든지 보호자가 없고, 쓸쓸하고, 위험할 수 있다. 특히 다인 가구나 부부관계 사이에서 벌어지는 갈등은 단순한 해프닝으로 넘어가는 경우가 많아 가시화되거나 수치로 드러나지 않는다.

引用:『비혼수업』강한별 p45

以下、私が意訳した文です

 (ひとりで暮らすからといって、保護者がいなかったり、寂しく危険な環境で住むことになるとは限らない。

また、結婚したとしても保護者がいなかったり寂しかったり危険な目にあったりすることもある。特に家族、夫婦間で起きる葛藤は、単なるハプニングとして問題視されないケースが多く、可視化、数値化されたりしない。)

 

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”非婚=孤独に生きる” ではない。

 

비혼은 말 그대로 결혼을 하지 않겠다는 의미이지, 결코 사회로부터 등을 돌리고 고독을 즐기며 혼자서 살아가는 인생을 택하겠다는 뜻은 아니다. 

引用:『비혼수업』강한별 p138

  以下、私が意訳した文です。 

(非婚とはその言葉のとおり結婚をしないという意味であり、決して社会に背を向け孤独を楽しみ、ひとりで生きていく人生を選ぶという意味ではない。)

외롭냐, 외롭지 않느냐는 결국 누군가와 의미 있는 관계를 얼마나 맺고 있느냐에 달려 있다. 다만 그 누군가를 사회가 규정한 혈연 중심의 가족 형태나, 이성 간의 연애 또는 결혼의 대상으로 한정하지 않아도 된다. 비혼은 결혼하지 않고 나 홀로 내 삶을 일구겠다는 삶의 형태이지, 모든 인간관계를 단절하고 사회 구성원으로서의 삶을 포기하겠다는 선언이 아니다.  삶의 주기에 따라 함께하는 이들이 달라지는 것은 당연하다. 모두가 자신의 라이프스타일에 따라 새로운 관계를 만들고, 지난 관계와는 멀어지기도 하면서 사는것 아닐까?

引用:『비혼수업』강한별 p316

   以下、私が意訳した文です。 

(孤独かそうでないかは、結局のところ誰かとどれだけ意味のある関係を結んでいるのかにかかっている。しかし、その誰かを必ずしも社会が決めた血縁中心の家族や異性間の恋愛、もしくは結婚の対象に限定しなくてもよい。非婚とは、結婚せずにひとりで自分の人生を耕していく生き方ではあるが、全ての人間関係を放棄するという宣言ではない。人生のサイクルによってそばにいる人が変わるのは当たり前のことだ。皆、自分のライフスタイルに合わせて新しい関係を築いたり、また誰かと疎遠になったりしながら生きていくものではないだろうか。)

 
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多様な関係を構築していく非婚ライフ

 

자연히 우리는 짧게 20~30년, 길게는 40~50년 또는 그 이상을 ' 1:1의 관계' 를 맺지 않으면 안 되는 줄 알고 살아왔다. 비혼을 택하고 사람들을 만나는 범주가 더 다양하게 늘어나면서 사회적으로 학습했던 관계에 대한 고정관념이 많이 깨졌다.

 

引用:『비혼수업』강한별 p292,293

   以下、私が意訳した文です。 

(私たちは、短くて20〜30年、長くて40〜50年、またはそれ以上の時間、必ず一対一の関係を築かなければいけないと思い込んで生きてきた。しかし非婚を選ぶことによって出会う人の層がさらに多様になり、今まで社会の中で学んできた関係に対する固定観念が大きく崩れるのだ。)

인간관계에서는 나를 믿고 지지해주는 깊고 끈끈한 관계도 중요하지만, 얕고 느슨한 관계도 꼭 필요하다.

 

우리가 미처 알아채지 못했지만 사람들은 다양한 형태로 연결되어 있고 그 속에서 끊임없이 뭔가를 창출해낸다.

引用:『비혼수업』강한별 p315

  以下、私が意訳した文です。  

(自分を信じてサポートしてくれる深く強い関係も大切だが、浅くてゆるい関係も必ず必要だ。(中略)私たちが気づいていないだけで、人々は多様な形でつながっており、その中で絶え間なく何かを創出しているのだ。)

 

비혼의 삶은 인생에서 맞닥뜨리는 모든 문제를 혼자 책임져야 한다고 생각하고 지레 겁먹는 사람들이 많다. 하지만 꼭 그러한 것은 아니다. 비혼인들끼리도 협력할 수 있고, 얼마든지 상호 합의 하에 가족을 구성할 수 있다. 함께 사는 구성원 모두가 자기만의 방을 두면서 공용공간인 거실과 주방을 통해 일부의 삶을 공유하는 형태,다달이 내야 하는 월세와 관리비를 제외하면 그 어떤 금전적인 관계나 법적인 관계로 엮이지 않은, 철저한 타인으로 살아가는 공동체. 

引用:『비혼수업』강한별 p67

 以下、私が意訳した文です

 (多くの人が、非婚ライフは人生で直面するすべての問題を一人で背負わなければいけないものだと怯えている。しかし必ずしもそうではない。いくらでも非婚同士が協力しあったり、互いの合意のもとで家族になったりできるのだ。一緒に暮らす仲間ひとりひとりが自室を持ち、リビングやキッチンを共用し、一部の生活だけを共有するスタイル。毎月の家賃と管理費を除いた、いかなる金銭的、法的な関係に発展しない完全なる他人として生きていける共同体なのだ。)

 

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ここまで印象に残った文章をピックアップしてきましたが、この本を読んだ感想を最後に少し。

 

世間的に"非婚=孤独"のイメージが強いけれど、実際に非婚暮らしをしてる人の声を聞くことなく勝手にイメージづけするのはどうなのかなと思ってまして。

結婚して子供がいたとしても常に孤独を感じてる人や、パートナーの愚痴ばかりを言ってる人もいる。

逆に非婚であっても、友人達と心満たされる人間関係をうまく築いてる人もいる。

要はその人次第だなあと本書を読んで思いました。

 

 

あと、やっぱ非婚を選んだ人が気をつけなきゃいけないのが、全ての人間関係を断って孤立してしまわないことですね。

できるだけ身の周りで非婚仲間を見つけて、ゆるく集まり助け合いながら生きていく。

セーフティーネットが弱い非婚者は、横のつながりが不可欠だなあと改めて思いました。

 

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でもまあ、コミュニティや個人にできることにも限界があるなとも思いまして。

非婚を選択する人が増えてきているとはいえ現時点では少数派だし、肝心の制度も整ってない。

自分らしさを優先できる、素晴らしい生き方なのには間違いないのですが、現時点ではある程度の不利益を覚悟の上で選ばなきゃいけない道なのかなあとも思っちゃいました。

例えば、お金の不安をなくすための財テク(貯金、投資、資産運用など)の話も出てくるんですが、どちらかと言えば、文化資本も経済資本も揃ってる女性向けというか。

あらゆる面でギリギリな状態の女性に果たしてできるのだろうかと思ったり。

 非婚は誰もが選べる生き方ではないし、まだまだ課題山積みだなーというのが正直なところです。

だから、こうやって個人やコミュニティが草の根で活動を広げていくのと同時に、制度も拡充されていかなきゃいけないですよね。

日本はまだ非婚女性のロールモデルや団体なども少なく、非婚ライフがイメージしづらいですが、今後日本でも本書に書かれているような生き方を選ぶ人が増えていくのは確実。

国や自治体が制度の拡充を迫られるのも時間の問題です。

 

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はやく旧来の婚姻制度が根本的に見直され、それぞれが自分に合ったライフスタイルを周囲の偏見なしに選択できる社会になってほしい。

個人の意思決定や行動が全て"誰かの妻や母" の評価になってしまう世の中を終わりにしたい。

この本を読んで、そういった思いがさらに強くなりました。

 

 

★★★

 

ということで今回は、『非婚授業』 - 楽しい1人家族の指針書 の紹介でした。

韓国に住む人向けに書かれた本なので、中には私には当てはまらないなあと思う内容ももちろんありましたが、漠然と靄がかかっていた非婚への道が少し見えるようになったというか。

”非婚=孤独、不安”といった固定観念がほぐれ、こういう生き方もありだなと思える1冊でした。

それだけでも読んだ価値はあると思いますし、何度も読み返し、自分の人生にもうまく取り入れていきたいなと思います。

 

もちろん人によっては、本書を読んで「私に非婚は無理だ」「合わない」と思う方もいらっしゃると思います。でもそれもまたひとつ勉強になるので、結婚以外のいろんな選択肢を持っておきたい方はぜひ読んでみてほしいです。 

 

最後に、この本と関連するおすすめ韓国本記事も貼っておきます。ぜひ合わせて読んでみてくださいね。

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