韓国エッセイ『私だけの(本)部屋 - 空間欲』を読んでみました。

※本ページにはプロモーションが含まれています

 

こんにちは、そみ(@somi_koguma) です。

 

私は昔から家大好きっ子でして。

子どもの頃から、自室の机や棚の位置を頻繁に変えたり、好きなものを小さい空間につめこんだりすることに大きな喜びを感じる人間でした。

よく、頭の中で理想の部屋の構想を練って遊ぶ、みたいなこともしたり。

 

私は空間へのこだわりが強いというか、たとえ学校の机の上や職場の机の上であっても、どうにかして自分が好きなスタイルにしようと工夫を凝らすタイプなんですよね。

 

ここ数年は、留学や一人暮らしなどでしばらく一つの空間に落ち着くことができませんでしたが、フリーランスになってからは自分の部屋にこもれることが増え、年々自室への愛着が増しています。

最近も「どこにも行けなくて手持ち無沙汰になってる今がチャンスだ!」と思い、仕事スペースのインテリアを変えたり、植物をお迎えしたりと、少しずつ自分の理想の空間に近づけていっています。

 

で、最近読んだ 『자기만의 (책)방 私だけの(本)部屋 -』も、そういった空間欲をテーマにした1冊でして。

自身が経営している小さい本屋、職場の机の上、自宅、銭湯、などなど著者が愛着を持っているあらゆる空間が紹介されており、自分だけのお気に入り空間を持つことの喜びがひしひしと伝わってくるエッセイでした。

 

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  • 本・本屋が好き
  • 小さな本屋をオープンするのが夢
  • 自分だけの空間を作りたい

といった方におすすめの 『자기만의 (책)방 私だけの(本)部屋 -』

今回も本を読んで感じたことや印象深かった部分を紹介していきたいと思います。

 

※今回紹介するのは韓国語で書かれた本です。

 

자기만의 (책)방  私だけの(本)部屋 

 

本好きの皆さん。

この本のタイトルを見るだけで、胸が高鳴りませんか?

私はタイトルをみて、即購入しました(笑)

 

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本や本屋好きの方なら、一度は「小さい本屋をオープンしてみたい」「最高に素敵な書斎がほしい!」と願ったことがあるはず。

ほとんどの人は思い描くだけでなかなか行動に移せませんが、この本の著者は、昔からの夢だった本屋の運営を実現するために会社を辞め、なんとその3ヶ月後にオープン!

現在、京畿道安養市で밑줄서점(下線書店)という本屋を運営なさっています。

 

私も何度も本屋を開きたいなと思ったことがあるので(いつも妄想で終わりますが)、著者が本屋をオープンするまでの過程や、大好きな本に囲まれて過ごす様子に、こちらまで心が満たされちゃいました。

本好きの方なら、著者の「完全にひとりになって本を読める空間がほしかった」という言葉に大共感するはず。


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この本は全3章で構成されていて、1章には主に著者が運営する本屋、밑줄서점(下線書店)のお話が。

2章は本屋以外の愛着のある空間について、3章には本屋でのお客さんとの出会いについて書かれていました。

 

ちなみにこのエッセイは、drunken editorという出版社から出ているマンスリーエッセイシリーズ。

今回は空間欲をテーマにしたエッセイですが、他にも物欲や出世欲、食欲などをテーマにしたエッセイが毎月出版されています。

韓国本は単行本がほとんどですが、このシリーズは文庫本より少し大きいサイズ感。

外に持ち出して読書したい方にもおすすめです。


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ではここからは、印象に残った文章を紹介したいと思います。

 

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人には自分だけの空間が必要だ

 

공간의 용도나 크기, 인테리어 취향의 차이는 있겠지만 누구나 자기만의 공간을 갖고 싶어 한다. 그게 집일 수도 있고 방일 수도 있고 나처럼 작은 가게일 수도 있다.

 引用:『자기만의 (책)방』이유미 P12

 

以下、私が意訳した文です。

(人によって、空間の使い方や大きさ、インテリアの好みは違うが、誰もが自分だけの空間を欲しがっている。それは自宅や部屋かもしれないし、私のように小さいお店かもしれない。)

 

어떻게 보면 밑줄서점은 책방이기 전에 홀로 읽고 쓰는 작업실, 그러니까 나만의 공간이란 의미가 더 클지 모른다. 나는 그 누구보다 혼자 있는 걸 좋아하고 혼자여야 충전이 되는 사람이니까. 내 공간에 대한 애착이 크다는 것은 나를 소중히 돌보고 싶다는 증거다. 내가 원하는 곳으로 나를 데려다주고 싶다는 마음. 지금 당장이 아니더라도 가슴 한 구석에 그런 상상을 품고 살아가는 것만으로도 충분하다. 이 책이 여러분 마음속의 그 로망을 조금이라도 충족시킬 수 있다면 좋겠다.

 引用:『자기만의 (책)방』이유미 P14-15 

以下、私が意訳した文です。

(下線書店には、本屋である以前に、ひとりで読み書きする作業室、つまり”自分だけの空間”といった存在意義があるのかもしれない。私は誰よりも一人でいるのが好きで、一人になってはじめてエネルギーが充電できる人間だから。自分の空間への愛着が強いということは、自身を大切にケアしている証拠でもある。自分が望んでいる場所に連れて行ってあげたいという気持ち。今すぐには無理でも、そういった思いを心の片隅において生きていくだけでも十分だ。この本が、皆さんの心にあるロマンを少しでも満たせたらと思う。) 

 

내 취향의 머그컵을 사고 키보드나 마우스를 굳이 내 돈 들여 새로 바꾸는 건 내 자리에 대한 애착이 있어서다.공적 공간 안에서 내 정체성을 표현하고 싶어서다. 

(中略)

내가 좋아하는 물건을 하나둘 들이면서 자리를 돌보는 마음은 그 공간에 의미를 부여하는 일이다. 의미가 있으면 특별해진다. 그럼 지루한 일상도 견딜 만해진다.

 引用:『자기만의 (책)방』이유미 P92

 以下、私が意訳した文です。 

 

(好みのマグカップやキーボードをあえて自費で購入するのは、自分の場所への愛着があるからだ。プライベート以外の場所でも、アイデンティティを表現したいからだ。)

(好きな物をいくつか持ち込み、自分の滞在する場所に常に気を配ること。それはその空間に意味を与える行為だ。意味があれば特別なものになる。そうすると、つまらない日常にも何とか耐えられるようになるのだ。)

 

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職場の机、ホテルの部屋といった一定の期間だけ使用する空間であっても、自分の好きなものを最大限つめこみ、好みの空間に変えてしまう人、いますよね。

まあ、私もどちらかといえばそういうタイプなのですが、昔勤めていた職場にも、常に机の上やロッカーを自分のスタイルに変える方がいたんですよね。

どうしたら殺伐とした仕事空間を和らげられるか。どうしたら隙間時間にリラックスできるか。そういったことを誰よりも考えてる方でして。

会社から支給される物をあえて使わず、お気に入りのもので埋め尽したり、休み時間になるとフラッと消えてどこかでひとりの時間を過ごして帰ってきたり。

そのおかげかその方はいつも穏やかで、満たされた表情をしていたのを覚えています。

私もその先輩を真似てみたのですが、そもそも集団が苦手すぎてその職場は長続きしませんでした...笑

 

 

どういう場所に置かれても、自分の好みを反映させた空間を一から作れる力。これはその人の柔軟性、環境適応力ともつながってますね。

まずは、自分をご機嫌にしてくれるものが何かを把握すること。それが最初のステップなのかなと。

 

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오롯한 나만의 공간, 물론 불특정 다수가 들락날락하는 곳이지만, 구석진 동네에 유도인구가 많지 않아 거의 혼자 있을 때가 많은 곳이다. 집에서 휴식하는 것과는 차원이 다른 쉼이 있다. 엄마와 아내에서 벗어나 '나'로 존재할 수 있는 곳.

 引用:『자기만의 (책)방』이유미 P98-99 

 

 以下、私が意訳した文です。

(完全なる自分だけの空間。もちろん本屋は不特定多数の人が出入りする場所ではあるが、私の町は隅っこにあり流動人口も少ない。そのためひとりでいる時間が長いのだ。自宅で休むのとは次元の違う感覚が味わえる。母でも妻でもない、’私’になれる場所だ。)

  

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この本を読んでいるとき、ヴァージニア・ウルフの「女性が小説を書こうとするなら、お金と自分だけの部屋を持たなければならない」という言葉が何度も頭に浮かびました。

 

著者も育児と家事をしながら働いているため、本書の中で何度も「完全にひとりになれる空間の重要さ」を語っていました。

創作活動を目的としてなくても、完全にひとりになれ、役割から解放された”私”に戻れる空間は確実に心の安定につながりますし、特に家庭が仕事場である主婦には絶対に必要ですよね。

この社会では、誰かの母・妻である人間が、ひとりの空間と時間を持つことは贅沢だと言われる傾向があります。

もっと、ひとりの時間、空間を持つことを尊重する空気が醸成されてほしいものですねえ。

 

”完璧に準備できた状態”は来ない

 

사람들이 말하는 것처럼 나는 꿈을 이뤘다. 작은 책방의 주인이 되는 게 소원이었으니까. 이렇게 빨리 소원성취를 하리라곤 생각하지 못했지만 지금 와서 되돌아보니 그건 '시간'의 문제라기 보다 '포기'의 문제 였다. 모든 게 다 갖춰질 때까지 기다릴 게 아니라 지금이 아니면 안 될 것들을 위해 손에 꼭 쥔 몇 가지를 놔버리면 되는 거였다. 

 引用:『자기만의 (책)방』이유미 P12-13

以下、私が意訳した文です。  

(みんなの言う通り、私は夢を叶えることができた。小さい本屋の主人になるのが念願の夢だったから。こんなに早く叶うとは思っていなかったが、今思えば、’時間’の問題ではなく’諦め’の問題だったように思う。ベストな環境が整うのを待つのではなく、「今じゃなければダメだ!」と思うことのために、所有しているものをいくつか手離せばよかったのだ。)

 

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点が線になる瞬間

 

돌이켜 보면 삶이란 '점을 찍는 일' 같다. 그리고 그 점들이 '선으로 연결되는 순간' 꿈으로 완성되는 게 아닐까 싶다. 좋아하는 책을 부지런히 읽는 것, 밑줄을 긋고 필사를 하고 내 글을 쓰는 것, 시간을 쪼개가며 좋아하는 일들을 그렇게 짬짬이 이어가는 것, 그런 순간들을 점처럼 찍다 보니 어느새 하나의 선으로 연결되어 있었다. 

 引用:『자기만의 (책)방』이유미 P33

 以下、私が意訳した文です。 

(振り返ってみると、人生とは’点を打つこと’だったようだ。そしてその点が’線になる瞬間’こそが夢が叶う瞬間なのかもしれない。好きな本を読み続けること、下線を引いて筆写し、文章を書くこと。時間を割き、合間合間に好きなことをし続けること。そういった瞬間を点のように打っているうちに、いつの間にかひとつの線になっていたのだ。)

 

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 ★★★

ということで今回は韓国エッセイ 『자기만의 (책)방 私だけの(本)部屋 -』の紹介でした。

本や本屋が好きな方はもちろんのこと、空間へのこだわりがある方も楽しく読める1冊だと思いました。

家にいる時間が長くなっている時期だからこそ、こういったエッセイを読んで、自身の理想の空間を思い描いたり、今いる場所の空間作りに集中してみるのもいいかもしれませんね。

私もこの本のおかげでずっと後回しにしていた模様替えをようやく終えられました(笑)

 

おすすめです。ぜひ読んでみてくださいね。