2021年上半期に読んだベスト本まとめ(日本語の書籍)

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こんにちは、そみ(@somi_koguma) です。

 

「ついこの間ベスト本の記事を書いたのになあ、もうあれから半年経ったのか....」と、時の流れの速さにゾッとしながら、2020年下半期のベスト本記事をクリックすると、その記事の冒頭にも時の流れに驚いていると書いてあって、ちょっと笑っちゃいました。

また半年後も「もう年末だあ」とか言っちゃうんだろうなあと思ったり。

 

今年に入ってからも予想以上に仕事量が多くて、実はあまり読書ができなかったんですが、それでも合間をぬって20冊ちょい読みました。

今回はその中から数冊、印象深かった本をピックアップしようと思います。

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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

 

1冊目は『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい 』という小説。

表題作の登場人物と自分の重なる部分が多く、ヒリヒリとした痛みを感じながら読みました。

でも同時にその傷口に軟膏を塗ってもらってるような感覚もある、なんとも優しいお話。

 

人を馬鹿にして面白さを追求するような荒々しいコミュニケーションとは無縁の世界が広がっていて、こういう作品がようやく世の中に出てきたのかあという感動と共感で、始めの数ページを読んだだけでちょっと涙ぐんじゃいました。

大切に大切に読んだ1冊です。

 

ファシズムの教室

 

『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのかは、甲南大学で行われたファシズム体験授業記録を書籍化したもの。

大衆がファシズムに熱狂してしまうメカニズムやナチズムの歴史が丁寧に解説されており、いま世界中に広がっている排外主義、ポピュリズムの嵐に警鐘を鳴らす1冊でした。

特定の条件下では誰しも暴走してしまう可能性があること。ファシズムは鬱憤が溜まっている大衆にとってとても魅力的な体制であること。

ただ単に「ファシズム=悪」というイメージを持つだけにとどまらず、きちんと仕組みを知っておくことで、過去の教訓を生かし抗えることを教えてくれる良書でした。

たくさんの人に読まれてほしい1冊です。

 

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女ふたり、暮らしています

 

3冊目は 『女ふたり、暮らしています。 』です。

当ブログで原書を何度も紹介しているので、 またかと思われるかもしれませんが、このエッセイめっちゃ好きなのでお許しを。

20代後半に差し掛かると、今後の暮らし方を真剣に考えるようになるんですが、いろいろ考えた結果、やっぱキム・ハナさんとファン・ソヌさんの暮らし方が最強じゃね?という結論に至っちゃいまして(笑)

もちろんここまで気の合う友達を探すのは至難の技だし、違いを尊重しあえるだけの粘り強さと誠実さがお互いに求められるけれど、結婚か独身かの二択に苦しむ人にとっては、新たな選択肢になりそう。

原書ではつかめなかったニュアンスを邦訳版で確認し、このエッセイへの愛がさらに深まりました。

 

見えない性的指向アセクシュアルのすべて

 

4冊目は『見えない性的指向アセクシュアルのすべて 誰にも性的魅力を感じない私たちについて

 「恋愛に興味がないなんて人生損してる」「なんで付き合ってるのに、触れちゃダメなの?」「恋愛対象ではなく人として好きって....それは遠回しに僕を拒絶してるってこと?」「恋愛に興味ないとか言ってると、本当に一生ひとりになるよ」「全然恋人できない人って、人格に問題があると思っちゃう」

外部から取り込まれ、消化できないまま、どこか心の貯蔵庫のような場所にしまわれていた言葉の数々。

私は長年そのことに直視したくなくて、自分がAセクであることに薄々気づいていても、目を背けていたんですよね。

でも最近はTwitterのおかげもあってかやっと直視できるようになり、こういった本も冷静に読めるようになってきまして。 

翻訳が少々読みにくいなと思ってしまう部分もありましたが、長年の悩みに寄り添ってくれる内容で読んでよかったなあと。

当事者の方も、周りにAセクの友人やパートナーがいる方も、是非手にとってほしい1冊です。

 

 

 

私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない

 

5冊目は『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない 』です。

この本は、かっこいいキャリアウーマンを目指し、広告コピーライターとして働いてきた著者が、ある時、女性という理由だけでキャリア断絶を経験し、長年わずらってきた家父長制依存症から抜け出すまでの過程を綴ったエッセイ。

 

実は2年前にこのブログで原書を紹介したのですが、今年の7月1日に日本語翻訳版が発売されることになりまして!

先日、出版社の編集担当者さんから、日本語版が出るので読んでみてくださいと連絡をいただき、一足早くゲラを読ませてもらいました。

 

原書を読んだ2019年の時点では、キム・ジナさんはフリーランス、カフェのオーナーという肩書きでしたが、その後女性の政党を立ち上げ、2021年4月にはソウル市長選に立候補。そして結果は、候補者12人中4位という快挙を成し遂げられました!

 

2019年の原書で「政治をしましょう」「女性の尊厳を守れる連帯の場を守っていきたい」といったことを書いておられたのですが、有言実行とはまさにこのこと。まさか政治家として新たな道を進まれるとは、、、!ソウル市長選挙立候補者のリストに、キム・ジナさんが載っていてとても驚いたのを今でも覚えています。

 

「家父長制から降りた女性が、安全に、尊厳を保ちながら生きられるのか」という問いに、今度は政治家として答えようと奮闘しているキム・ジナさん。

国は違えど、その壮大な実験と闘いをこれからも応援し、連帯し続けたいなと思います。 

 

 ヘイトスピーチと対抗報道

 

最後に紹介するのは『ヘイトスピーチと対抗報道 』です。

こちらは、ヘイトスピーチの現場を取材している著者がヘイトスピーチの背景や国の政策、2000年代の人種差別問題やヘイトクライム事件などをまとめている1冊。

日本政府やメディア、人々がどのように差別に向き合ってきたのか(もしくは向き合ってこなかったのか)がよくわかる内容でした。

 

ヘイトスピーチを徹底的に糾弾せず、中立的な立場を選ぶメディア。

被害者への同情や励ましはするけど、加害者を非難することはない人々。

こういった日本型反差別の問題点がよく見えてきたし、ヘイトスピーチは表現の自由なんかではなく暴力なんだと、毅然とした態度をとらないとうっかり差別に加担しちゃうのだなと、改めて身の引き締まる思いに。

 

 

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★★★

てことで今回は、2021年上半期のベスト本紹介でした。

Twitterにも書いていましたが「読みたい本が多すぎて、まじで仕事してる場合じゃない!」 という気持ちが、日々の仕事意欲の足を引っ張ってまして。

今の感じだと、残りの6ヶ月も大半の時間を仕事に費やすことになりそうですが、読書時間だけは何とかは捻出したいものです。

またいい本に巡り会えることを願って、今日も明日も明後日も、黙々と読み続けたいと思います。

 

ではっ !