※本ページはプロモーションが含まれています
こんにちは、そみ(@somi_koguma) です。
今回は2021年下半期にかけて読んだ本の中で、特によかったものを記録しておきたいと思います。
スポンサーリンク
仕事文脈
毎回刊行を心待ちにしているタバブックスの仕事文脈シリーズは、人々の生業、暮らし、それを取り巻く社会情勢に毎回違った切り口で向き合っているリトルマガジン。
薄い冊子だけど読み応えがあって、いつも付箋だらけ。毎度編集部さんの熱量ががっつり伝わってくる。
ちなみに先日刊行された最新号「グレーでいること」はまだ最後まで読めていないのだけど、白黒はっきりすることを求められがちな今の風潮にグレーの領域を考えることや、すでに忘れ去られようとしている東京五輪が残した負の足跡、、、といった、普段から興味を持っているトピックだから、はやく最後まで読みたいなあと思っている。
自分で名付ける
育児にまつわるエッセイは今まで一度も読んだことがなかったのだけど、松田青子さんの本なら、、、ということで読んでみた1冊。
これがまたまた自分の知らないことの連続で、知っているようで知らなかった妊婦、子連れ女性への風当たりの強さ、女性にのしかかる重さが痛いほど伝わってきて、ユーモラスに明るい文体で書かれているのに、全然笑えない、、、となる場面もあった。
妊娠・出産・育児の過程で絶え間なく襲ってくる感情の数々を、渦中にいるときによくここまで言語化できるなあと感心したし、当事者にとっては、言語化できなかったもやもやを代弁してくれる痛快さがあり、当事者ではない人にとっては今まで見えてこなかった世界が覗ける1冊だと思う。
「人の人生は一度きりなのに、有限なのに、こんなにも長きにわたって人々のとてもシンプルな願いに反対し、踏みつけ続けることができるなんて信じられない」って文に首がもげるくらい頷いた。
おもろい以外いらんねん
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい 』がすごくよかったから、今回も期待しながら読んだ。
お笑いのもつ加害性やジェンダー、ホモソーシャルなどいろんな要素がつまったお話で、ノンフィクションみたいな小説だった。
小学生〜中学生の頃、クラスの中心的な人たちが流行っている芸人さんのネタで次々に友達をいじっていた空気感や、当時の居心地の悪さがよみがえって読むのに疲れる瞬間もあったけど、『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』と同様、登場人物の心の機微がとてもうまく描かれていて、何度も感嘆のため息が出た。
あと、世に出回ってるほとんどの作品(本以外のものも)が共通語で書かれている中で、登場人物の会話が関西弁なのも嬉しかった。
もちろん関西弁といっても大阪弁寄りの若い男性の口調だから、自分の使っている言葉とは多少ヅレがあったけど、やっぱり細かい言葉のニュアンスがつかみやすいし、ストーリーに没入しやすかったな。
妊娠と出産をめぐるスピリチュアリティ
最近、よく行くオーガニック食材のお店にホメオパシーの本が置かれはじめたり、漢方薬局から送られてきた冊子の内容に引っかかりがあって、このモヤモヤをなんとかしたいと手にとった1冊。
私自身、生理痛やPMS、その他数々の不定愁訴と長年付き合ってきて思うのは、体というものは本当に腹が立つほど思い通りにいかないってこと。
妊娠・出産となると尚更自分の体が自分のものではないような感覚になるんだろうし、そこへの不安感や、周りからの理解のされなさ、どうしようもなさが一気にのしかかってくるのだと思う。
妊娠出産は女性の自己責任と言われるこの社会で、不安や閉塞感に穴を空けてくれる存在を切実に求めてしまう女性達の気持ちも理解できるし、スピリチュアル市場自体には問題はあってもそこに傾倒しちゃう人達を頭ごなしに批判し切り捨てるのもなんか違うなと思った。女性差別の根強さをまた違った側面から知れた。
屋上で会いましょう
3年ほど前に原書に挑戦したけど、当時の読解力では難しいところが多くて後半でギブアップしちゃった『屋上で会いましょう』
去年に日本語版が出て、今年になってようやく読んだ。
チャンセランワールドはいつもいい意味で風変りで、突拍子もない展開が魅力。
権威、古びた慣習を吹き飛ばしてくれる優しい世界に包まれると、生き延びる力が湧いてくるし、毎回、セランさんの想像力はどこまでいくのだろう...限界はあるのだろうか...と思う。
『屋上で会いましょう』も予想のつかない展開にすごくわくわくしたし、全ての作品に社会問題が込められていて、セランさんの社会から疎外された人への眼差しがしっかり感じられる作品だった。
★★★
てことで2021年に読んでよかった本の記録でした。
来年も読んで読んで読みまくるぞ。
スポンサーリンク