韓国エッセイ『記録することにしました。』を読んでみました。

※本ページにはプロモーションが含まれています

 

どうも、そみ(@somi_koguma) です。

 

私は自宅でひとりで仕事をしていることもあって、どうしても単調な毎日になってしまうのが悩みでして。

2019年までは定期的な海外旅行でルーティンから抜け出していたのですが、コロナ以降、行動範囲が制限され、ほとんどの時間を地元で過ごしています。

ただでさえ単調になりがちな生活サイクルがさらに単調なものになり、曜日感覚が完全に消え、メリハリのない毎日が続いています。

同じ日は二度と来ないのに、平凡な1日も大切にしたいのに、何もないことが幸せだと思いたいのに「今日も昨日と変わらない1日だったな....」「特別なことってなかなか起きないな」と平凡な日常の価値を忘れてしまうことがあったり。

 

今の情勢を見ていると、今年も、もしかしたら来年も海外に行くのは難しそうだし、しばらくはこの生活と付き合っていかなきゃいけない。

 

このままじゃどんどん無味乾燥な生活になるなあと危機感を抱いていたとき、ちょうどタイミングよくキム・シンジさんの新作エッセイ『 記録することにしました -忘れないように始めた毎日の習慣-』 を読んだのですが、こんなにも自分の日常を愛おしく感じられるエッセイって久しぶりだなあと感動。

 

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てことで今回は、


    ・日常の小さな幸せを大切にしたい
    ・日々を記録する方法を知りたい
    ・なんとなく過ぎていく毎日に危機感を感じている

 

という方におすすめしたい『 記録することにしました -忘れないように始めた毎日の習慣-』を紹介し、心に残った文章もピックアップしたいなと思います。

 

※今回紹介する本は韓国語で書かれた本です。 

 

기록하기로 했습니다. (記録することにしました)

 

記録することにしました -忘れないように始めた毎日の習慣-』は、日常のあらゆる事柄、瞬間を記録することの意味、記録が私たちの人生にどんないい影響をもたらしてくれるかについて書かれたエッセイです。


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記録と聞くと、その日あったことを書く日記のようなものを想像しちゃいますが、このエッセイの中では日常記録以外の様々な記録も紹介されてまして。

例えば感情記録、旅記録、ユーモア記録、心に残った文章記録、大切な人の声記録、風景記録、看板記録などなど。

一見「そんなことまで?」と思うようなことも、著者は文章で、映像で、音声で、写真で、ひとつひとつ丁寧に拾っていきます。

 

本書では全22種類の記録法が紹介されているのですが、この22の角度から日々の生活を見つめ直すと「今まで見逃していたことがたくさんあったなあ」「自分の生活が冴えないのではなく、自分の生活を見る目が曇っていたんだなあと」背筋がピンと伸びるような思いに。

 

前作の『平日も人生だから - 週末ばかりを待たない人生のために』  を読んだ際、著者の感受性と日常の切り取り方に心を鷲掴みにされちゃったのですが、今回も案の定、初めの数ページで「ああ、やっぱキム・シンジさんの文章好きだあ」とペンシムを再確認。 

 

そういえば昨年末買った日めくりカレンダーも入れると、キム・シンジさんの作品を買うのはこれで3つ目。

著者の文章はいつも、仕事やストレスで乾燥した心に水を与えてくれます。宝物のひとつです。
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このエッセイは大きく4つに分かれていまして。

1章『일기를 쓰기로 했습니다.』には、一番身近な記録方法である日記について。

2章『순간을 수집하기로 했습니다.』には、季節や空間の記録、心に栄養を与えてくれる言葉や誰かと一緒に笑った冗談を収集することについて。

そして3章『영감을 모으기로 했습니다.』には、仕事や活動、人生観に影響を与えてくれる言葉の記録について。

最終章『사랑을 남겨두기로 했습니다.』には、いつかはなくなってしまう愛する人、物、場所を記録することの大切さが書かれていました。


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ちなみに私は高校生の頃から今まで、毎日欠かさず日記を書き続けていて、普段からよかった本や映画なども細かくノートに記録しています。

1年のうち写真や映像を撮らない日のほうが少ないし、4年間続けているこのブログやSNSも人生記録のひとつ。

元々記録が好きで、コツコツ続けるのが得意な人間だからか、正直この本から記録を継続するためのモチベーションを得る感覚はありませんでした。

でも、見落としていた部分(例えば愛する人の書いたメモを集めたり、声を記録することなど)に気づかせてもらえたし、筆者の記録への情熱に深く共感し、読んでいる間中 最高に幸せな気持ちになれました。

 

一方で、記録が苦手な人やその価値がいまいちわからない人にとっては、細かく記録することって非常に難しく面倒なことですよね。(私の周りにも、日記を1週間以上続けられたことが一度もないと言っている人がちらほら。)

そういった方にこそ、このエッセイを強くおすすめしたいなと思いました。

 

誰でも無理なく続けられる記録法や、自分にあった方法の探し方なども紹介されてますし、何よりも、記録することの価値がこれでもかというほど書かれているので、読むと、居ても立っても居られなくなります。すぐにでも何かを記録したくてたまらなくなるはず....!

 

また、各エピソードの最後には記録練習のためのノートが準備されてまして。

ただ読んで終わりにならないようにと、すぐに実践できる工夫がされてます。
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内容が良いのはもちろんのことですが、所々、筆者が撮ったフィルム写真が載っているのも写真好きとしてはテンションがあがりました。(久々にフィルム欲がむくむくと湧いてきた)

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ではここからは、印象深かった文の紹介をすこし。

 

つまらない1日も、積もり積もれば貴重な1年になる

  

시간이 쌓인 기록은 그게 무엇이든 귀해질 수밖에’ 없습니다. 삶이란 건 원래 한 사람에게만 일어나는 이야기니까요. 무엇이든 기록해보세요.매일 기록하는 사람은 하루도 잊지 않습니다. 그건 곧 , 하루도 자신을 잃어버리지 않는다는 말과 같아요. 

引用:『기록하기로 했습니다. 』김신지 p211

 以下、私が意訳した文です  

(時の積み重ねは、それが何であれ必ず貴重な記録になります。人生というものは、その人ひとりだけのストーリーですから。何でも記録してみてください。毎日記録する人は1日たりとも忘れはしません。それはつまり、1日たりとも自身を見失わないという意味です。)


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오랫동안 한자리에 쌓여온 시간에 감탄하는 것. 그 시간을 볼 수 있도록 남겨둔 한 사람의 성실함에 감탄하는 것. 일기의 대단한 점은 아무래도 여기에 있는 것 같아요. 하루치는 시시하지만 1년이 되면 귀해지는 것.

引用:『기록하기로 했습니다. 』김신지 p22

 以下、私が意訳した文です 

(長い間ひとつの場所に蓄積された時間に感嘆すること。そしてその時間を見られるよう残しておいた、その人の誠実さに感嘆すること。日記の素晴らしさはここにあるように思えます。1日だけを見ると味気ないけど、それが1年になるとかけがえのないものになるのです。)

 

力を与えてくれる文章、言葉、瞬間の収集

 

제가 하는 기록을 큰 틀에서 두 가지로 나누면 '순간 수집'과 '문장 수집'이 될 것입니다. '순간 수집'이 주로 사진을 찍는 방식으로 이루어진다면, '문장 수집'은 노션 앱에 하는 기록이 주를 이룹니다.

저에게는 이렇게 수집한 문장을 넣어두는 '문장 서랍'이 있습니다. 각각의 서랍은 서랍문에 이름표를 붙이듯 제목을 붙여두었어요. '행복', '재능', '가족' , '책' , '예술/창작' , '여행'처럼요.  

引用:『기록하기로 했습니다. 』김신지 p140-141

 以下、私が意訳した文です  

(私の記録を大きく2つに分けるのなら、'瞬間の収集'と’文章の収集'になると思います。'瞬間の収集'は主に写真による記録で、’文章の記録'はメモアプリへの記録です。)

(私にはこのように収集した文章を保管しておく'文章の引き出し'があります。各引き出しには、引き出しの前にネームプレートを貼るように、題名を貼っておきました。'幸せ' 、'才能'、'家族'、'芸術/創作'、'旅行'というように。)

 

읽고 지나가버리는 문장이 아니라 꼭꼭 씹어 내 것으로 소화하고 싶은 문장들, 침대 맡의 전등처럼, 창가의 화분처럼 , 가까운 자리에 두고 함께 살고 싶은 문장들을요.

잊지 못하리라 생각하며 가슴에 품었던 문장들이 풍화되듯 사라지는 일을 반복해서 겪은 후, 저는 이런 것을 기록하는 사람이 되었습니다. 

引用:『기록하기로 했습니다. 』김신지 p124-126

 以下、私が意訳した文です 

(読んで終わりの文章ではなく、しっかり噛みしめ、消化し、自分のものにしたい文章。枕元のライトのように、窓際の植木鉢のように、近くに置いて共に生きていきたい文章。)

(忘れないだろうと心にしまっておいた文章が、風化するように消え去ってしまう経験を繰り返した結果、私はこういったことを記録する人になったのです。)

 

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말은 생각보다 쉽게 잊히니까요.

마음이 힘든 날 열어보는 것만으로 차츰차츰 기운이 차오르게 하는 비밀 노트가 될 수도 있을 테니까요.

引用:『기록하기로 했습니다. 』김신지 P107

 以下、私が意訳した文です  

(言葉は思ってるよりも簡単に忘れてしまうから。)

(辛い時、ページを開けるだけで、じわじわと力が湧いてくる秘密のノートになるかもしれないから。)

 

愛する人、物、瞬間の記録

 

무엇을 기록해야 하냐고요? 지금 사랑하고 있는 것들을 기록하세요. 우리가 사랑한 모든 것은 언젠가 사라질 테니까요. 

引用:『기록하기로 했습니다. 』김신지 p185 

 以下、私が意訳した文です 

(何を記録したらいいかって?今、あなたが愛しているものを記録しましょう。私たちが愛したものはいつか全て消えてしまうからです。)

 

언젠가 친구의 친구가 이런 말을 전해준 적 있어요. 예전에 쓰던 낡은 폰을 버리지 못하고 있는대, 거기 돌아가신 엄마와 주고받은 메시지가 남아 있기 때문이라고요. 그걸 볼 때마다 엄마 목소리가 몹시 그리운데, 시간이 흐를수록 엄마 목소리가 어땠는지 희미해진대요. 그 긴 세월 동안 동영상 하나 찍어놓지 않은 게 너무 후회돤다고요. 

引用:『기록하기로 했습니다. 』김신지 P181

 以下、私が意訳した文です 

(あるとき、友達の友達がこんなことを話していました。以前使っていた古い携帯を捨てられずにいると。なぜならそこには亡くなった母とのメッセージのやり取りが残っているからだと。それを見るたびに母の声がたまらなく恋しくなるのに、時が経てば経つほど母がどんな声だったか、記憶がぼんやりと薄くなっていくそうです。長い歳月の中で母の映像をひとつも撮っておかなかったことが、とても悔やまれると。)

 

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이번 주엔 사랑하는 누구든 영상으로 담아보세요. 헤어지고 나서 전철역으로 들어가는 친구의 뒷모습, 국수를 끓이는 엄마의 옆모습, 곤히 자는 반려묘의 숨소리. 지금 내 곁에서 생생히 살아 숨쉬고 움직이는 모습, 언젠가 사무치게 그리워질 모습을요.

引用:『기록하기로 했습니다. 』김신지 p186

 以下、私が意訳した文です 

(今週は愛する存在を映像に残してみましょう。バイバイして駅に入っていく友人の後ろ姿を。ククスを茹でる母の横顔を。ぐっすり眠る愛猫の吐息を。いま私のそばで生き生きと呼吸し動いているものの姿を。いつの日か、しみじみと思い出しそうな姿を。)

 

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★★★

ということで今回は『忘れないように始めた毎日の習慣 記録することにしました』 の紹介でした。

 

ちなみに2020年のベスト韓国本にキム・シンジさんの『平日も人生だから - 週末ばかりを待たない人生のために』  を選んだのですが、その後、2人の読者さんから「私も読みましたよ〜」という嬉しいメッセージをいただきました。

『平日も人生だから - 週末ばかりを待たない人生のために』 が心にグッときた方は、今回の新作も絶対お好きだと思います。

もし読まれた方は、またDMなどで教えてくださいね。いつでもメッセージ待っています!

 

    ・単調な生活を繰り返している
    ・日常の小さな幸せを大切にしたい
    ・日々を記録する方法を知りたい

 

という方、是非読んでみてください。

 

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