キム・キョウルさんの『本の言葉たち』を読んでみました。

 

※本ページはプロモーションが含まれています

 

こんにちは、そみ(@somi_koguma) です。

 

今回はブックユーチューバーのキム・キョウルさんが昨年出した1冊、『本の言葉たち』 - 違う世界を想像して共感するために の紹介です。

これまた長い積読期間を経て(積読あるのに次々と本を買ってしまう癖のせい)、先日ようやく読み終わりました。

 

f:id:schhms:20220210120253j:plain

 

今回も本の内容や付箋を貼った部分などを簡単に記録していきたいと思います。

 

 

※今回紹介するのは韓国語で書かれた本です。

 

 

ブックユーチューバー、キム・キョウルさん

 

著者キム・キョウルさんは、現在ブックユーチューバー、作家、ラジオDJなどマルチに活動しておられる方です。

毎回欠かさず見ているYouTubeキョウル書店は、一言でいうなら本が好きな人による本が好きな人のための空間。

キョウルさんの溢れ出す読書愛を感じられるのもいいし、面白そうな本に出会える場でもあるし、視聴者さん達がコメント欄で感想やおすすめの本を共有しあっているのも素敵。

たとえチャンネル内で紹介されている本に興味が持てなくても、読んだ本の魅力をうきうきと話す人の表情にはいつも心惹かれます。私にとってはすっかり心が弾む空間となってます。

現時点でおそらく?英語・日本語字幕がないのが残念ですが、韓国語がわかる方はぜひぜひ登録してみてください。

 

日頃からキョウルさんの人柄や考え方に厚い信頼を寄せているので、今回刊行された『本の言葉たち』 - 違う世界を想像して共感するために も内容などを確認することなくポチってしまいました。

 

f:id:schhms:20220210120250j:plain

 

책의 말들 (本の言葉たち)

 

前置きはここまでにして、本の簡単な紹介に入ります。

 

f:id:schhms:20220210120256j:plain

 

こちらは著者が読んだ100冊の本から、ただ”本に関係する文章”だけを抜粋し、それを元に書かれたエッセイ。

左のページには本や読書、文献、図書といったワードが含まれている文章100個が抜粋されていて、右のページにはその内容に関連する著者の考えやエピソード、社会の話が書かれています。

ただ単に抜粋した文章への感想が書かれていたり、ずっと本の話だけが続いたりするのではなく、抜粋した文章から連想される多様なエピソードへと話がどんどん展開されていくのが印象的でした。

ある本の内容を紹介する本というよりは、抜粋した文章をベースに筆者と共に多方面に想像を巡らせ、あーでもないこーでもないと熟考したり、回顧したりする時間を与えてくれるエッセイだなと思いました。

 

f:id:schhms:20220210120247j:plain

 

ではここからは本の中の文章や感想などを少し。

 

책 읽기는 느린 행위다. 책 읽기는 우리에게 멈춰 서도록 요구한다. 눈과 귀로 쏟아져 들어오는 정보를 허겁지겁 처리하는 대신 천천히 생각하도록 요청한다. 어떤 책에는 저자가 과속방지턱을 많이 설치해 두는데, 그러한 과속 방지턱은 몇날 며칠에 걸친 고민으로 완성된다. 어떤 책에서는 저자가 혼신의 힘을 기울여 서서히 미끄러지도록 도로를 설계하는데, 이러한 도로 역시 몇 날 며칠에 걸친 고민으로 닦아진다. 성실한 독자는 그 과속 방지턱을 갈라 보고 잘 닦아진 도로를 문질러 본다. 독서란 곧 경청이며, 경청이란 곧 집중하고 반응하고 되묻는 일이다. 

그러므로 책읽기란 얼마나 비효율적인 행위인가. 어떤 이들은 문학을 읽지 않는 자신을 자랑스러워한다. 허구의 세계가 쓸모없다 믿고, 당장 써먹을 만한 지식을 알려주는 책만이 가치 있다 여긴다. 그러나 비효율이 곧 우리가 삶을 버틸 수 있게 만들어주는 힘임을, 더 나아가 아름답게 만들어주는 힘임을 경청하는 이들은 안다.

引用:『책의 말들 』김겨울 p29 

(以下、私が意訳した文です)

(読書とは遅い行為だ。読書は私たちを立ち止まらせる。目と耳に溢れるほど入ってくる情報をあたふたと処理する代わりに、ゆっくり考えるようにと呼びかけてくる。ある本には著者によってハンプが設置されているのだけど、そういったハンプが読者にとって何日も引きずる悩みとなる。そしてある本には著者が渾身の力を込めて設計した、徐々に人の足を滑らせるような道路があるのだけど、こういった道路もまた読者が何日もかけて悩むことで、拭かれていく。誠実な読者はそのハンプを割ってみたり、綺麗に拭かれた道路をこすってみたりする。読書とは傾聴であり、傾聴とは集中し、反応し、尋ねたりすることだ。それゆえに読書とは実に非効率的な行為だ。ある人たちは文学を読まないことを誇らしく思っている。虚構の世界など意味のないものだと信じ、今すぐ役に立つような知識を教えてくれる本だけに価値があるのだと思っている。しかし非効率さとは私たちが人生を耐え抜いていくための力なのだと、さらには人生を美しくする力なのだと。傾聴している人たちはそれを知っている。)

 

소설의 결말을 향해 급하게 달려간 후에 그래서 이게 나에게 무슨 이득을 주느냐고 묻는 것은 죽음을 향해 급하게 달려간 뒤 그래서 삶이 나에게 무슨 소용이냐고 묻는 것과 비슷하게 들린다.

引用:『책의 말들 』김겨울 p197 

(以下、私が意訳した文です)

(小説の結末に向かって急いで走っていき、そのあと、それでこれが私になんの利益をもたらしてくれるのかと尋ねることは、死に向かって急いで走っていった後、それで人生は私にとって何の意味があるのかと尋ねるのと同じことのように聞こえる。)

 

책은 저자의 경청과 독자의 경청으로 완성된다. 하지만 그러기에 우리는 너무 지쳤을지도 모른다. 혹은 너무 바쁠지도 모르고, 처음부터 끝까지, 누군가의 이야기를 듣고 있기에는. 그래서 ‘영화 결말 포함 줄거리‘와 ‘노래 후렴 모음‘과 ‘소설 줄거리 요약‘의 힘을 빌려 재미를 느끼는 것이 자연스러워졌는지도 모른다.

引用:『책의 말들 』김겨울 p179

(以下、私が意訳した文です)

(本は著者の傾聴と読者の傾聴によって完成する。しかし私たちは誰かの話を最初から最後まで聞いていられないほど疲弊しきってるのかもしれない。または忙しすぎるのかもしれない。だから映画の結末を含むあらすじ、曲のサビまとめ、小説のあらすじ要約の力を借りて面白さを感じることが自然になったのかもしれない。)

 

ーーーーーー

今年に入ってからというもの、人にめっきり会わなくなり外出する機会も激減。

家にこもって仕事をこなし、休憩時間はSNSをながめ、本を読み、また仕事をし、、、と閉鎖的な生活になっていまして。

もちろん遊びや趣味を楽しむ時間も設けているけど、外部からの刺激を受けない生活になると、どんどん加速しちゃってもっと仕事を!もっと情報を!とブレーキがきかなくなる瞬間が来るんですよね。(今がまさにそんな状態だからブログを書いて心の安定を図っています。)

 

一度没頭すると周りが見えなくなるタイプなので、ふと気づけば情報過多による焦燥感と不安がどっさり心に溜まっているし、作業しすぎることによるバーンアウトに襲われる。

そんなときに傾聴ができるはずもなく、ぐったりしながら回復することに集中するはめになる。

だからなるべくこういう状態にならないために遅い行為である読書を1日のスケジュールに組み込んで、暴走を止めているというか。

 

世の中は加速の一途を辿っていて、1秒たりとも立ち止まることを許さないムードが漂っているし、効率のいいこと、時間を無駄にしないことがよしとされている。仕事のときもよく求められるので、すぐ立ち止まってしまう自分にはきついなあと毎度心が削られます。

 

効率の良さや無駄のなさ、といったものをなるべく避けたいと感じつつも、自分もそういう価値観を十分すぎるくらい取り込んでしまっているし、焦ると内側からひょっこり顔を出す。

効率や時間の有効活用などは100%悪いことではないし、ある局面、分野などでは必要なんだろうけど、そこからこぼれ落ちるものの多さを知ってしまった以上、速いことを美徳とする風潮には警戒しなきゃいけないなと常々思ってます。

私も小さなことから始めていて、判断を急がないようにしたり、熟考・傾聴する姿勢を崩さないようにしたり、ちょっと立ち止まることに慣れていってる途中です。(傾聴の練習自体まだ圧倒的に足りてないですが...)

本は速さに慣れすぎた現代人に必要な思考暴走ストッパーなんだろうし、非効率な行為である読書に向き合えて初めて、複雑で得体の知れない存在である他者に歩み寄れるのかもしれないなあと思います。

 

f:id:schhms:20220210120244j:plain

 

고독한 이가 책을 벗 삼으면 적당히 대화도 할 수 있고 듣기만 할 수도 있고 자기 얘기만 할 수도 있고 언제든 멈출 수도 있다. 뭘 충전할 필요도 없고 연결할 필요도 없으면서도 그 무엇보다 세계와 연결되어 있는 이 믿음직한 벗은 여전히 나만큼 느려서 나의 고독을 안심시킨다. 근현대의 어느 쪽방에서, 중세의 수도원에서, 고대의 왕실에서 책을 읽던 사람의 등과 우리의 등이 겹쳐지므로 우리는 조금 덜 외로워진다.

引用:『책의 말들 』김겨울 p205

(以下、私が意訳した文です)

(孤独な人は本を友人だと思えば適度に対話もできるし、ただ聞いてることもできるし、自分の話だけをずっとしていてもいいし、いつでもそれを止めることもできる。何かを充電する必要もないし、何かにつなげる必要もないし、そして何よりも世界とつながっているこの頼もしい友人は私と同じくらい遅いから、孤独感を和らげてくれる。近現代のある小部屋で、中世の首都圏で、古代の王室で本を読んでいた人の背中と私たちの背中を重ねることで、私たちは少しばかり孤独から解放される。)

 

살아가는 일은 몸에 갇히는 일과 다름없다. 몸이 썩어 없어지리라는 확신, 무슨 짓을 해도 늙음을 피할 수 없으리라는 확신, 더럽게도 말을 들어 먹지 않는 장기와 근육과 온갖 액체를 무사히 먹이고 재우고 이끌고 다녀야 한다는 사실이 우리를 움직인다.

引用:『책의 말들 』김겨울 p123

(以下、私が意訳した文です)

(生きていくことは、体に閉じ込められることに他ならない。体が腐ってなくなることへの確信、何をしても老いを避けることはできないという確信、嫌気がさすほど言うことを聞いてくれない臓器と筋肉とあらゆる液体に、なんとか栄養を与え、寝かせ、引っ張っていかなければいけない。その事実が私たちを動かすのだ。)

 

말해야만 하는 일을 말하고 나서 제 삶을 침범당하는 기막힌 사태에 슬퍼하는 사람들은 또 얼마나 될까? 자신의 이야기를 하는 것만으로 세상과 투쟁해야 하는 사람들. 에세이가 투쟁이 되는 사람들. 자서전이 비명이 되는사람들.

引用:『책의 말들 』김겨울 p185

(以下、私が意訳した文です)

(話さなければいけないことを話したことで自身の人生が侵犯される。そんな呆れ果てしまうような事態に陥り、悲しんでいる人がこの世にどれだけたくさんいるだろうか。自分の話をするだけなのに、世の中と闘わなければいけない人たち。エッセイが闘争になる人たち。自叙伝が悲鳴になる人たち。)

 

f:id:schhms:20220210120258j:plain

 

✔️ 집 밖에 나가는 것을 싫어한다.

✔️ 모르는 사람과 이야기 나누는 것을 싫어한다.

✔️ 책 읽는 것을 좋아하지만, 내가 읽고 싶은 책만 읽는다.

✔️ 일을 미루는 편이다. ​

그렇다면 당신도 '겨울서점'을 좋아할 확률이 높은 사람.

引用:『책의 말들 』김겨울 p209

(✔️知らない人と話すのが嫌いだ。✔️本を読むのは好きだが、読みたい本だけを読んでいる。✔️用事を後回しにするほうだ。それならあなたもキョウル書店を好きになる確率が高い。)

 

★★★

 

ということで、今回は『本の言葉たち』 - 違う世界を想像して共感するために の簡単な紹介でした。

 

ちなみにこちら結構薄い本なのですぐに読み終えるかなあと思ったのですが、難しい語彙が頻繁に出てきたので、スマホでちょこちょこ調べながら読み進めました。

個人的に韓国語レベルはやや高めかな?という印象でしたが、普段から韓国の本を読んでる方や、普段からキョウルさんのチャンネルを見ている方なら楽しく読めるエッセイかなと思います。

 

最後にキム・ハナさんのPodcastに出演なさったキョウルさんの映像も載せておきますね。今回紹介した『本の言葉たち』について話しておられるので、興味のある方はぜひ。

 

youtu.be